今日の利尻は強風です。風を避けるためか?分からないのですが、港の中にかもめさんが大集合していました。
水の上にもプカプカ。陸にもたくさんいました。
今日の絵本は
花仙人
松岡享子 文
さいこう 画
福音館書店
絵のさいこうさんのお名前は本当は漢字ですが、例によって出せませず。詳しくは絵本をご覧ください。
さいこうさんはきっと中国の方なので、中国の昔話の絵がとてもいいですね!
さて、このお話は元は『今古奇観』という明代の短編集に載っていたものだそうです。
長楽村という小さな村に、秋先という老人がいました。秋先は花が大好きでした。自分の庭に花を植えてはとても大切に育てて、それを愛でたり、眺めるのを楽しみにしていました。
ある日のこと。都から手下を連れてやって来た張委というならず者が秋先の庭に花を見たいと入り込み、酒を飲んだ末に、泣いて止める秋先を蹴散らし、花を折り散らかして帰っていきます。
秋先が嘆いていると、花の仙女が現れて庭の花を元通りに生き返らせてくれました。
次の日、再びやって来たならず者の張委。自分達がめちゃめちゃにした庭が元通りになっているのを見て、秋先を「妖術使いだ」と訴えます。
秋先は捕まってしまいました。
ならず者の張委たちは大喜び。秋先の庭に来て酒盛りを始めました。そこに花の精たちがやって来て、罰として張委一味を散々な目にあわせました。張委は、天罰が下って死んでしまいました。
裁判所では秋先の裁判が始まろうとしていました。そこへ張委が死んだという知らせが届き、さらに村人たちが秋先の無実を訴えたので、秋先は無罪放免になりました。
一説によると、秋先の元に花の仙女が訪れ、「普通のだべものをやめて花びらだけを食べなさい」と教えました。そうやって秋先は花仙人になったということです。
このお話にはもう一つの物語があります。サイドストーリーというのですかね。
秋先は、初め、花を大切にするあまり庭に誰も入れませんでした。
でも、張委たちが強引に庭に入り込んで荒らされ、花の仙女に元に戻してもらうという不思議な体験の後、「庭の花を独り占めしないでみんなに見せよう」と花の庭をみんなに開くことにしたのです。
だから、秋先の庭にはたくさんの人が四季折々の花を見に来るようになりました。それで後々、長楽村は百花村に名前が変わったということです。
花にかけた愛情は秋先と花の庭の命を救いました。ならず者たちも退治されてスッキリ。
一番思ったのは、優れたものは一人で守っていれば、守りきれないこともある。そして、その人が亡くなれば終わってしまう。
でも、優れたものをみんなに開けば、協力して守れるし、死後も受け継がれる、ということです。
今は誰もが発信できる、かつて無く優れたものを開きやすい時代と思います。良い時代です。