判例時報2599号で紹介された裁判例です(仙台高裁令和5年1月26日判決)。

 

 

本件は降格処分の無効確認とそれに伴う減給分の賃金や賞与の差額の支払いをもためという事案です。

 

 

処分の理由とされたのは,2020年2月28日にコロナ感染対策の一環として,会社から婚姻会を含む社内イベントの開催を控えるようにという通知をしたのに,その日に部下と深夜まで飲食し,その部下が飲酒運転を起こしたことから,「現在の等級に在籍していることが不適当と認められるとき」という就業規則に基づき定められた等級制度の規定に抵触するとされたものです。

 

 

裁判所は第一審,控訴審とも,本件の降格処分は無効であると判断しています。

その理由につき,会社からの前記通知と深夜まで部下と飲食した点の評価として,一部の少人数で会食を行ったことが会社の通知に反する行為であったとはいえず,職務上野義務に反する行為であったとはいえない,等級制度における降格決定が社員に重大な不利益をもたらすものであることを考慮すれば,結果的に部下が飲酒運転による事故を起こしたという重大な事態を招いたとしても,それを原告社員の責任として職責に反したということはできないと判断しています。

 

 

また,第一審判決では賞与の差額分については請求が認められていませんでしたが,控訴審判決では,本件会社の賞与の決定方法からすれば,具体的な賞与の請求権が発生していたものとして,この点についても認容しています。

 

 

コロナ禍の発生から4年が経過し,当時のいろいろな出来事について改めて評価がされる時期が来ているようです。

 

 

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