令和4年5月18日に訴訟のIT化などを主とする民事訴訟法が改正されましたが、システムの構築などが必要な改正事項もある為、実施時期は、改正事項ごとに順次施行されることとなっています。

 

 

令和5年3月1日から施行されているものとして、ウェブ・電話会議による争点整理手続をさらに利用しやすくしたということが挙げられます。

 

 

従来行われていた争点整理手続きは、電話会議を利用していたものでしたが、これはあくまでも当事者や代理人の一方が遠隔地にいるということを要件としていたことに加えて、さらに、当事者(代理人)の一方は必ず裁判所に出頭していなければならないという制度(弁論準備手続き)でした。

新型コロナウィルスの感染拡大と時期をほぼ同じくして急速に広まりを見せたウェブ会議(電話会議)を利用した争点整理手続きでは、当事者双方が裁判所に出頭できないため、弁論準備手続きという制度にはのらないので、それまでほとんど活用されていなかった、当事者いずれもが出席しなくてもよい「書面による準備手続き」という手続き(正直こんな制度があるということ自体弁護士であってもほとんど認識されていなかったように思います。)であるという建前のもと、実質的には従来の弁論準備手続きと変わらないやり取りが行われていました。

 

 

弁論準備手続きと書面による準備手続きの実務上の一番の違いは何かというと、書証の取調べができるかどうかということで、あくまでも後者の建付けで行われていたウェブ会議(電話会議)においては、書証の取調べはできないのでその後の当事者が出席したうえで行われる手続きで行うということで後回しということになっていました。

 

 

今回の改正では、ウェブ会議(電話会議)は、弁論準備手続きでも行えるということになったので、書証の取調べも行えるということになり実務上の効率性、利便性が向上しました。

また、従来の弁論準備手続きの要件の一つとされていた遠隔地でなければならないという要件や当事者の一方が出席していなければならないという要件も削除されたので、より一層便利になったということはいえます。

 

 

 

令和4年民事訴訟法改正① 秘匿決定制度 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)