捜査関係者によりますと、会社関連の口座には腕時計を借りた人からのレンタル料の入金の記録がこれまで確認されていないなど、預かった時計を実際に貸し出していた形跡が見られず、最初から売却を目的に腕時計を集め、売却で得た金の一部を持ち主に回していた疑いもあるとみられるということです。

(3月7日NHKニュースウェブから一部引用)

 

最初から売却する意図で顧客から時計を交付させていたのであれば詐欺ということになりますが、騙す意思があったのかどうかについては様々な状況や証拠を総合して判断する必要があるため、まずは、仮受けていた時計を売却するという外形的事実から確実に罪に問えそうな横領罪という入り口から立件に入ったものと思われます。

今後の捜査の進展次第によっては、詐欺罪での立件に切り替わるということも視野に入ってくるのではないでしょうか。

時計を借り受けて貸し出すという事業をしていたが資金繰りに窮して売ってしまったというのと最初から騙すつもりで時計を交付させていたというのでは事案の構造が全く異なることになります。

 

 

しかし、これだけ大規模に事業を展開していながら、その実態が全くなく、代表者も逃亡しているということからすると、大掛かりで組織的な背景があることもうかがわれるところです。

 

 

他に売却された時計について、被害者の意思とは全く無関係に占有が移転した「盗品」であれば、民事上は、被害者には回復請求権が認められていますが、被害者の意思に基づいて占有が移転した詐欺や横領の場合には適用とはならないことから、民事上その被害を回復するというのはなかなか難しいというところがあります。

 

 

盗品の回復請求権と代価弁償請求権 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)