訴訟は札幌、仙台、東京、大阪、神戸の5地裁に起こされ、二審はいずれも旧法の規定を「違憲」とした一方、不法行為から20年が経過すると損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用するかなどについては判断が分かれた。大法廷は来年にも、救済範囲などを巡り統一判断を示す見通し。
(11月1日時事ドットコムニュースから一部引用)
不法行為から20年を経過すると損害賠償請求権が消滅するという改正前民法の規定について,判例は,消滅時効の規定ではなく,除斥期間であるという立場を頑なに貫き続けてきました。
両者の大きな違いとしては,消滅時効の規定であるとすれば権利の濫用として加害者が権利の消滅を主張することを制限できる余地があるのに対して,除斥期間であるとすると時間の経過により問答無用により権利が消滅するということとなり,本件のような国が憲法違反の人権侵害を犯したような事案であっても被害者が救済されなくなってしまうという不合理な結論となってしまうということがあります。
なお,令和2年に改正された民法が施行され,生命身体に関する不法行為に基づく損害賠償請求権について,従来の20年間という期間は除斥期間ではなく消滅時効期間であると明確にされています。
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旧優生保護訴訟では最初の時期は従来の判例に沿った判断が下されていましたが,あまりにもひどい事案であるということに鑑みて,除斥期間についての従来の判断枠組みを超えようとする判断が現れ,ついに最高裁の判断を待つに至ることになりました。
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