加藤厚生労働大臣は、フジテレビの番組「日曜報道 THE PRIME」で「今いただいている社会保険料は、医療は医療に使う、年金は年金に使うという、それぞれ目的と負担の関係でつくっている。年金や医療に使う金を子どもに持っていくのは、正直言って余地はない」と述べました。

そのうえで財源のあり方について「社会保険料方式という形なのか税で負担していくのか、やるべき施策などを含めてよく議論させていただきたい」と述べました。

(5月7日NHKニュースウェブから一部引用)

 

本気で子育て政策を遂行する気があるのかといった否定的な評価も多いようですが,財源の問題に論及したというだけであり,非難は当たらないのではないかなという気がします。

 

 

保険制度の中で負担を求めるためには,対応する危険との関係で保険料率などを定めていく必要があり,現在の社会保険は既に決められた目的のために充てられるということで徴収されている以上,目的外である子育てに利用することは許されないというのは自明なことではないかと思います。

 

 

更に進んで,今後,子育て政策のための新たな社会保険という制度とするのか広く税金の中から負担すべきなのかということについては,理屈でいえばやはり税金で賄うべきなのではないかと思います。

あくまでも保険制度である社会保険を子育て政策の財源とした場合,直接の受益を受けるのは子供がいる家庭ということになりますが,負担をどの範囲で求めるのかというのはなかなか難問です。

国としては広く薄く徴収したいところでしょうが(何となく「保険」というイメージには合います),仮に高齢者や子供を望めない人にも負担を求めた場合には受益が実現することのない保険に保険料の負担を求めることになり,制度としておかしいということになります。

子どもは国の宝といいますが,子育て政策を全国民が等しく負担を分かち合って進めていくべきではないかという理念からすれば,やはり,その財源としては税金が適しているのではないかと考えられます。国債で賄うという話もありますが,それこそ,将来の借金を次世代に付け回すことになりおかしいと思います(すでに十分すぎるほど付け回しているという気もしますが)。

 

 

少子化対策、財源に保険料浮上 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)