判例時報2492号で紹介された事例です(東京家裁令和2年4月17日審判)。

 

 

本件は、日本国籍の夫とフィリピン国籍の妻が、妻の婚外子である子(フィリピン国籍)の養子縁組にすることの許可を日本の裁判所に求めたという事案です。

 

 

養子縁組についてどの国の法律を適用するかという問題について、通則法では養親となるべき者の本国法に加えて、子の本国法が規定する一定の要件がある場合にはこれを満たす必要があるとしています。

 

法の適用に関する通則法

(養子縁組)

第31条1項 養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。

 

子の本国法であるフィリピン国内法において実親の同意、省の免許を受けたソーシャルワーカー等による養子、養親のケーススタディを行った上での裁判所に対する報告と問題に対する勧告が必要とされている点に付き、本件にいおいてこれらの要件を満たすかが問題とされましたが、前者の要件につき、本件のように同意を必要とする実親の所在が不明である場合にまでその同意が必要とは解されない、後者の要件についても、日本の家庭裁判所の審判による代行が可能であると解すべきであるとして、本件にいおいてフィリピン国法の要件を満たしていると判断され、養子縁組が許可されています。

 

 

フィリピン国籍を有する子を養子とする場合の国際私法関係について判断した事例 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)