https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56057750W0A220C2CR0000/

 

 

 

認知症などで判断能力が不十分な人を支援するために裁判所が運用する成年後見制度を巡り、最高裁は、利用者が後見人に支払う報酬の具体的な算定方法に関する考え方をまとめた。利用者への生活支援を確実に実施してもらうため、支援の実施状況により報酬を増減させる。後見人の担い手確保のため、財産管理事務の報酬は利用者の経済的利益を一部考慮して反映させる。

 

利用者の財産額を基準にする方法を基本的に実施しないが、付加的事務のうち、財産管理事項の報酬は利用者の経済的な利益の額も考慮する。

 

(2月26日日経新聞から一部引用)

 

 

現在の後見人報酬の算定方法は,本人の財産額(特に預貯金などの流動資産)を基準として,東京家裁の場合,財産額が1000万円以下の場合月額2万円,1000万円超5000万円以下の場合月額3~4万円,5000万円超の場合は月額5万円~となっています。極端に言えば,決められた報告などを怠りなくやっていればこの金額が報酬として保証されているといってよいでしょうか。

 

 

記事ベースですが,今回の報酬見直しで,財産額を基準とした報酬算定は行わないということなので,管理財産がどんなに高額であってもそれのみで定額の報酬を算定するということはしないということになります。

数千万円,億単位の財産を管理して高額な報酬を得ていた成年後見人にとっては「痛手」といえます。

 

 

なお,私の場合,後見人を引き受けることについては数年前から行っておらず,後見がらみの仕事としては,以前からの案件がいくつかあるほかは,後見人の業務そのものというよりは,後見制度を利用した法務的なアドバイスなどに比重が移ってしまっておりおり(後見開始後に老朽化した自宅を建て直してマンションを建てたいが本人名義の不動産の為め裁判所の許可が必要になる事案のサポート,老親との面会交流が絶たれてしまった事案における法的措置,信託や遺言も組み合わせた事業承継や財産管理の助言など),今回の見直しで特に経済的に「痛手」ということにはならない見通しです。

後見人を引き受けることを辞めてしまったのは,数年前に,従来の家裁からの一本釣りで意気に感じて難しい案件でも後見人に就任したりしていることが多かったのですが,弁護士会を通しての推薦(基本的に機械的に配点される)という形になったため,「誰でもできるような案件はやりがいがない」と感じてモチベーションが下がってしまったためです。

 

 

今回の「生活支援」といういわばソフト面を重視した報酬算定というのは,制度を利用する一般方の感覚とは合っていると思うし,どうやって評価するのかという問題は残るとしても,方向性としては間違っていないと思います。

ただ,その場合,法律の専門家である弁護士としてはそのようなことは苦手なことであることが多いし,むしろ,後見人業務自体は福祉の専門家などに委ねて,弁護士としては,本来の力が発揮できる紛争を生じた場合に後見人から依頼を受けて代理人として活動するといった方向性の方がすっきりするのではないかという気もしています。

 

 

【最高裁、成年後見の報酬改定へ 日常生活支援に手厚く】

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