http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130927-00000032-asahi-soci



 

受刑中の選挙権を認めない公職選挙法11条の規定が憲法に違反するかどうかが争われた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。小島浩裁判長は「受刑者の選挙権を一律に制限するやむを得ない理由があるとは言えない」と指摘。「規定は違憲」とする判断を示した。

 訴えたのは、受刑中のため2010年7月の参院選で投票できなかった元受刑者の男性=大阪市西成区。公職選挙法11条では、禁錮以上の刑を受け、執行が終わるまでの人には選挙権や被選挙権がないと定めている。男性は、この規定に基づいて違法に選挙権を否定され、精神的苦痛を受けたとして国に100万円の国家賠償を求めていた。

 判決で小島裁判長は、受刑者には公正な選挙権の行使を期待できないとする国側の主張について、「受刑者であることのみから、ただちに法を守る意識が著しく欠けるとはいえない」として退けた。そのうえで、憲法改正の国民投票については受刑者にも投票権が認められているとし、「不在者投票で選挙権を行使させることが実務上、難しいとはいえない」と指摘。受刑者であることを理由に制限するのは違憲との判断を示した。

(本日配信の朝日新聞デジタルより引用)


 



受刑者の選挙権に対する制限について上記のような訴訟が提起されているということは知りませんでした。
成年後見と選挙権の制限については,全国的な訴訟提起がされ,本年の東京地裁による違憲判決がなされ,公職選挙法による選挙権制限の規定が撤廃されましたが(ちなみに,被選挙権についても制限が撤廃されています),受刑者についてはそのままということになっています。





受刑者の選挙権制限については以前このブログでもコメントしたことがありました。

http://ameblo.jp/egidaisuke/entry-11426104178.html



 

確かに,犯罪を犯した人たちかもしれませんが,刑務所の待遇や自分が受けた裁判に関することなどについての意見を政治に反映させたいというのは,正当な要求ではないかと思います。例えば,死刑囚が死刑反対派の候補者に一票入れたいと思うことは,彼(彼女)が犯した犯罪行為とは切り離して考えるべきで,正当な政治的な意思であってこれを制限することは憲法上も許されないのではないかと考えられます。


 



普通に考えれば当たり前のことで,犯罪行為を犯したことと選挙権を奪うことには因果関係がないと考えられます。




もっとも,成年後見と異なり,受刑者の選挙権制限については国としても抵抗してくることが考えられ,上告されて最高裁に持ち込まれるのかもしれませんね。

※慰謝料の請求自体は棄却され,選挙権確認についても既に受刑終了したということで訴え却下となっているため,国側からの上告はできませんね。




ただ,成年後見の場合には被選挙権の制限撤廃まで進みましたが,受刑者については選挙権と被選挙権とは区別して考えるということは一定の合理性もあるのではないかと思います。

また,公選法違反や贈収賄といった公職に対する信頼性を貶めた犯罪類型については参政権に対して一定の制限を課するということも合理性があると考えられますし,要するに,参政権という重要な事件剣であることにかんがみて,一律に区切るのではなく,もっときめ細かく検討していくべきだろうということかと思います。





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