気がついたら時刻は午後5時。
ベッドの上でゴロゴロしていたせいで寝てしまったらしい。
遠藤「ん〜、よく寝た。」
お昼ご飯を食べ損ねてしまった私は、少し早いが夜ご飯の準備にかかる。
今日のご飯はハンバーグだ。
ハンバーグと言っても既に出来上がっていて温めるだけの簡単な物だが。
プルルルルル…
お皿にハンバーグを出し、電子レンジで温めようとしていると、誰かから電話がかかってきた。
その相手は真佑ちゃんだった。
今、ここで電話に出て、大人の対応ができる自信はない。
電話に出ていつも通り話せばいいだけなのに、今の私にはそれができない。
真佑ちゃんには悪いが、電話なんかかかってこなかった、ということにさせてもらおう。
遠藤「ハァ…。」
自分が子供なのは充分わかっている。
わかっていても大人になれない自分が嫌になった。
次の日、雑誌の取材と撮影が終わり、今日の夜ご飯は何にしよう、なんて考えながら帰ると玄関の前にある人が座り込んでいた。
賀喜「あ、さくお帰り。」
遠藤「なんでいんの。」
賀喜「連絡つかないから心配だったし、会いたくなったから来ちゃった。」
その言葉で私の何かがプツンと切れる。
遠藤「会いたくなったから来ちゃった?迷惑なんだけど。そんな誰にでも言ってる安っちい言葉なんか聞きたくない!!」
賀喜「さくどうしたの?」
遠藤「うるさい!帰って!!」
戸惑っているかっきーを無視し、玄関の鍵をかける。
賀喜「本当にどうしたの?とりあえず開けてよ。」
遠藤「あーもーうるさい!!」
なんで私の家に来るの?
真佑ちゃんの家行けばいいじゃん。
私が会いたいって言っても断ったくせに自分が会いたいからって勝手すぎる。
私は玄関から一番離れた寝室へ逃げ、頭から布団を被った。
しばらく布団の中で丸まっていると、インターホンが鳴った。
無視するが鳴り止む気配がない。
遠藤「だからしつこいっていっ…え…」
あまりのうるささにドアを開けると、そこにいたのはかっきーではなく飛鳥さんだった。
飛鳥「どうした?そんな怖い顔して。」
遠藤「すいません。あ、上がって行きますか?」
飛鳥「じゃあお邪魔しちゃおうかな〜。これお土産ね。」
遠藤「すいません、ありがとうございます。」
飛鳥「なんかあった?」
遠藤「まぁ…はい。」
私は飛鳥さんに今まであったことを話した。
かっきーの浮気を疑ってることや、自分の気持ちがわからないことも。
飛鳥「うーん…難しいね。ちゃんとかっきーの話しは聞いたの?」
遠藤「…聞いてないです。」
飛鳥「そりゃ良くないなぁ。もしかしたらさくの勘違いかもしれないし。ちゃんと話し合ったうえでかっきーが本当に浮気してたなら、その時は怒っていい。でも話しも聞かずに一方的に怒るのは違うよ?」
遠藤「ですよね…すいません。」
飛鳥「どうする?今かっきー呼ぶ?」
遠藤「…はい。ちゃんと話したいです。」
飛鳥「そっか、わかった。」
私が話したいと言うと、飛鳥さんは電話でかっきーを呼んでくれた。
飛鳥「私は帰るからあとは自分達でどうにかしなさい。困ったら助けてあげるから。」
遠藤「ありがとうございます。」
卒業した後も定期的に会いに来てくれる飛鳥さん。
私が困っているとすぐ助けにきてくれる優しい先輩だ。
今回もまた助けてもらってしまった。
遠藤「今度ちゃんとお礼しないとな…。」
お湯を沸かし、かっきーが好きな紅茶を淹れて本人の到着を待つ。
でも、話すと決めたはいいものの、どうすればいいのかわからなくなってきた。