どれぐらい寝ていたのだろうか、なんだか落ち着くような心地よい温もりと匂いに包まれながら目が覚めた。

 

 隣りに保乃はいない。

 

 そのかわり、目の前にはポカリとゼリー飲料、背中にはパーカーがかけられていた。

 

 保乃からもらった薬のおかげか、身体は随分と楽だ。

 

 

 

田村「あら、起きたん。ごめんな、トイレ行っとった。」

 

藤吉「薬ありがと。動けるぐらいにはなった。」

 

田村「よかった。でも無理したらアカンで?倒れる前に言うんやで?」

 

藤吉「わかってる。ありがと。」

 

田村「そういえば夏鈴ちゃんが体調悪いこと麗奈ちゃんは知っとるん?」

 

藤吉「知らないんじゃない?ってかなんで麗奈?」

 

田村「なんでって…。」

 

藤吉「麗奈は関係ないでしょ。」

 

田村「でも恋人やろ?」

 

藤吉「うーん…どうなんだろうね。どうせ私のことそんな好きじゃないでしょ。」

 

 

 

 そう、私は麗奈と付き合っている。

 

 いや、付き合っていたと言う方が正しいのかもしれない。

 

 面と向かって別れようと言ったわけではないが、自然消滅というかんじだろうか。

 

 もう1ヶ月ぐらい仕事以外で話していない。

 

 

 

田村「何があったか保乃にはわからんけど、ちゃんと話して納得しなね?空気悪くなるのだけは嫌やで。」

 

藤吉「わかってる…。」

 

 

 

 

 

 

 

保乃side

 

 夏鈴ちゃんは勘違いしている。

 

 麗奈ちゃんは夏鈴ちゃんのことを嫌いになんかなっていない。

 

 むしろその逆だ。

 

 今朝だって夏鈴ちゃんの体調不良に誰よりも先に気付いていて保乃に教えてくれた。

 

 

 

田村「おはよ〜。」

 

守屋「おはよう。あのさ、多分夏鈴ちゃん体調悪いと思うんだよね。私から言ってもあれだし、意地でも帰らないと思うからこれ飲ませてあげて。」

 

 

 

 そう言って手渡された薬。

 

 

 

守屋「夏鈴ちゃんこの薬しか合わないからさ。」

 

 

 

 誰よりも夏鈴ちゃんのことを理解している麗奈ちゃん。

 

 まだ来てないメンバーにおつかいを頼むこともできるのに、わざわざ少し離れたコンビニまでポカリとゼリーを自分で買いに行ったのも麗奈ちゃんだ。

 

 

 

守屋「ただいま〜。夏鈴ちゃんどお?まだ寝てる?」

 

田村「だいぶしんどそうやけどとりあえず寝てる。」

 

守屋「そっか。」

 

 

 

 そう言いながら自分の着ていたパーカーを脱ぎ、夏鈴ちゃんの背中にかける。

 

 

 

田村「汗かいてるけどかけたら暑くならん?」

 

守屋「夏鈴ちゃん寝てて寒いとき、無意識におでこスリスリするんだよね。多分汗が冷えて寒いんだと思う。」

 

 

 

 同棲していた時期もあったからか、細かいところまで把握している。

 

 なんなら本人よりも夏鈴ちゃんのことをわかっているんじゃないかと思うぐらいだ。

 

 

 

守屋「あと30分ぐらいで起きると思うから食べれそうだったらゼリーあげてくれる?」

 

田村「わかった。」

 

守屋「ごめんね、本当は私がやればいいんだろうけど…。」

 

田村「気にせんとって、保乃は大丈夫やから。なんか話しづらいんやろ?」

 

守屋「まぁ、うん…。私、飽きられちゃったのかね〜。」

 

田村「そんなことないと思うけどなぁ。まぁ、いつかはちゃんと話しなね?」

 

守屋「うん、ありがとう。」

 

 

 

 2人とも、不器用でちゃんと言葉にしないだけで、お互いのことを大切に想ってるし好きなんだと思う。

 

 

 

田村「なんとかならんかなぁ。」