藤吉side
収録まであと少し。
まだ節々は痛いものの、だいぶ動けるぐらいまでは復活した。
山下「藤吉さん、今日は写真撮らなくていいんですか?」
藤吉「もちろん撮るよ?今日も可愛く撮ってあげる。」
山下「やった〜。ありがとうございます!」
村山「私も後で一緒に撮りたいです。」
藤吉「いいよ。沢山撮ろうね。」
頭もスッキリしているし、収録も乗り切れそうだ。
衣装も制服で、基本動くような企画ではないはずだから大丈夫。
マネ「そろそろスタジオ行くよー。」
田村「夏鈴ちゃん行けそう?」
藤吉「今のところは。」
田村「約束覚えてる?」
藤吉「無理はしない。倒れる前に言う。」
田村「よし!ほな行くで。」
澤部「サクッ!今週も始まりました、そこ曲がったら櫻坂〜。司会の澤部と」
土田「つっちー。」
澤部「そしてこいつらが櫻ちゃんだいっ!」
無事始まった収録。
席も後列の端で、あまり目立たない位置。
いつものように天ちゃん達が収録を盛り上げてくれている。
今日はメンバー同士のタレコミ企画だ。
山下「この前3期でご飯に行ったとき…」
増本「最近なんかぁ…」
井上「幸阪の愛が重すぎまして…」
松田「つい先日も…」
みんなそれぞれのタレコミをぶつけ合っている。
土田「そんなこと言われてるけど、実際夏鈴ちゃんはどうなの?」
藤吉「まぁ、自覚はありますね。でもこれには理由がありまして…。」
アドレナリンが出ているのか、体調不良も忘れるぐらい楽しい収録だった。
ちゃんとMCのお二人と受け答えもできてたと思う。
マネ「今日2本撮りだから一旦楽屋戻って休憩してていいよ。」
なんとか1本目の収録を乗り切ることができた。
田村「体調どお?しんどくない?」
藤吉「大丈夫。」
いや、本当のことを言うと全然大丈夫ではない。
最後の方はなんとか気力で笑顔を保っていたが、楽屋に戻ると一気に疲れが出てきた。
正直座っているだけでもだいぶしんどい。
何も言わない保乃を見上げると、少し怒っていた。
藤吉「ごめんなさい、大丈夫じゃないです。」
田村「もぉ…、とりあえずよく頑張ったな。今日は帰ろうか。」
口調は優しいが、帰らないとは言わせないぞという圧はすごい。
藤吉「…はい。」
正直いつ倒れてもおかしくないぐらい悪化した私は、大人しく帰るという選択肢以外選ばざるを得なかった。
田村「マネージャーさんに伝えてくるからちょっと待っててな。」
藤吉「はい…。」
ぐるぐると視界が回る中、ゆっくりと自分の荷物をまとめる。
藤吉「あ、トイレ…」
保乃が戻ってくるまでにトイレに行っておこうと立ち上がったのが間違いだった。
完全に平衡感覚を失った私はフラフラと数歩進み、その場に倒れ込んでしまった。
でも不思議と身体に痛みはなく、代わりにフワッと心地よい匂いに包まれた。
目の前がチカチカし、周りから聞こえるメンバーの声もボヤけている。
あぁ、終わった…。
私はどうすることもできず、遂に意識を手放した。