守屋side
1本目の収録が終わり、楽屋に戻ると既に夏鈴ちゃんと保乃ちゃんが戻っていた。
顔色はとても悪く、今にでも倒れそうなぐらいだ。
いつもなら意地でも帰らない夏鈴ちゃんが、帰る用意をしているぐらいだから相当辛いんだろう。
田村「マネージャーさんに伝えてくるからちょっと待っててな。」
そう言って楽屋から出ていってしまった保乃ちゃん。
夏鈴ちゃんの方は椅子から落ちそうなぐらい身体が揺れている。
私は心配すぎて、いつ倒れてもいいようにさりげなく夏鈴ちゃんの近くで待機することにした。
藤吉「あ、トイレ…」
待って、今立ったら危ない!
守屋「夏鈴ちゃん!!」
気づいたら既に身体が動いていた。
フラフラと立ち上がった夏鈴ちゃんを床に倒れ込むギリギリで受け止める。
守屋「痛っ、」
どうやら受け止めた時に足を痛めたみたいだが、今はそんなことどうでもいい。
守屋「夏鈴ちゃん大丈夫?!」
藤吉「ハァハァ…」
身体が熱く、息も荒い。
私の声に驚いたメンバーが続々と集まってきた。
松田「え、大丈夫?!」
守屋「今保乃ちゃんがマネージャーさん呼んできてくれてる。」
的野「私のでよければこれで汗拭いてあげてください。」
守屋「ごめん、ありがとう。ついでに私のパーカー取ってくれる?うん、それ。ありがと。」
私達の声が聞こえているのかはわからないが、ぎゅっと私の袖を掴んだ手は離れない。
守屋「大丈夫、大丈夫だよ〜。」
震えている夏鈴ちゃんをパーカーで包み、声をかけながら背中を撫でる。
マネ「夏鈴大丈夫?下に車回したからすぐ病院連れて行くわ。」
飛んできたマネージャーさんに抱き抱えられる夏鈴ちゃん。
でも袖を握った手は離れない。
守屋「えっと…」
山﨑「麗奈ちゃんも病院行っとき。さっき足痛めたやろ。」
マネ「よし、れなぁも行くよ。」
ついでにではあるが、一緒に病院に行く理由を作ってくれた天ちゃん。
守屋「ありがと。」
保乃ちゃんと天ちゃんに支えられ、私も病院へ行くことになった。
車に乗ってからしばらくすると、呼吸は落ち着いたが時折苦しそうな声を出している。
藤吉「ん゛〜…」
守屋「よしよし、大丈夫よ〜。辛いのによく頑張ったね。」
なんて声をかけ、お腹をポンポンしながら頭を撫でると落ち着くみたいだ。
マネ「顔色どお?」
守屋「だいぶ落ち着いてます。」
マネ「よかった。もうすぐ着くけどれなぁは1人で大丈夫?」
守屋「私は大丈夫ですけど夏鈴ちゃんが手を離してくれるかですね笑」
マネ「夏鈴には悪いけど無理矢理引き剥がすしかないかな?笑」
守屋「赤ちゃんみたいに泣きじゃくるってことはないと思いますが…笑」
冗談を言える程私の心も落ち着いてきた頃、ちょうど病院に到着した。
マネ「夏鈴ー、病院着いたけど歩ける?」
藤吉「んー…ん。」
マネ「一旦車椅子借りてくるわ。ちょっと夏鈴のことよろしく。」
意識はあるものの、まだぼんやりとしているのか曖昧な返事しか返ってこない。
守屋「夏鈴ちゃん、麗奈行かないといけないところあるんだけど1人でも大丈夫?」
藤吉「…ん?」
無意識かはわからないが、袖を握る手が強くなったということは1人では嫌ということだろう。
守屋「麗奈のパーカー持ってっていいから少しだけ手離して欲しいなぁ。すぐ戻ってくるからさ?」
藤吉「ふぅん…」
納得した表情ではないが、私のパーカーを持って行くことで了承してくれたみたいだ。
なんだか拗ねた子供みたいで可愛いが、熱が下がればこのことも覚えていないんだろうな。
マネ「お待たせ。あ、解放された?」
守屋「パーカーが代わりに人質になりました笑」
マネ「あら笑。とりあえずゆっくり行こうか。受付はもう済ませたから。」
ここは夏鈴ちゃんの内科と、私の外科も入っている大きい総合病院。
階が違うからここで一旦お別れだ。
夏鈴ちゃんは3階、私は5階。
それぞれエレベータで目的の階へ向かった。
骨に異常はなく、軽い捻挫だった。
レッスンや動くお仕事は1週間ぐらい休まないといけないことになったが、夏鈴ちゃんの頭が床に強打することを防げたのだからそれでいい。
先に終わったとマネージャーさんからLINEが入っていた。
夏鈴ちゃんの方は2日間は絶対安静、その後のお仕事は体調と相談ということになったみたいだ。
マネ「お疲れ様。足大丈夫だった?」
守屋「捻挫でした。1週間は運動を控えろ、だそうです。」
1階の総合受付付近で合流し、車へ向かう。
守屋「それよりも夏鈴ちゃん大丈夫でした?」
マネ「一応点滴打ってもらったけどまだ頭はぼーっとしてるみたい。ずっとれなぁのパーカー手放さなかったよ笑。」
横を見ると、大事そうに私の貸したパーカーを抱きしめてながらよたよたと歩いている。
守屋「夏鈴ちゃん、危ないから手繋ご?ほら。」
すると素直に手をニギニギしてくる夏鈴ちゃん。
こんなに素直な夏鈴ちゃんは久しぶりだ。
マネ「私この後事務所戻らないとなんだけど、夏鈴のこと任せても大丈夫?」
守屋「大丈夫ですよ。私の家で寝せときます。」
マネ「ありがとね。薬も出たから嫌がると思うけど飲ませてあげて。」
守屋「任せてください笑。」
久しぶりに私の家に来る夏鈴ちゃん。
まずは沢山寝せて元気になってもらわないと。
それからちゃんとお互いの気持ちを話せたらいいな。