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「独自の世界観に共感するファンが集まる」ブランディングのブログ

一般社団法人ブランド・バリュー協会理事で、飲食店コンサルティングのイー・フードビジネス・サポート代表の上田が、
ファンに選ばれ続けるためブランディングについてお伝えします。時にはビジネス以外の日常の感じた事、気づいたことも綴ります。



■昨日の夜はやること多くて事務所に泊まりました。

 今朝6時くらいに、セブンでも行こうかなと、秋の涼しさ漂う
 北浜の街を自転車で走っていたその時です。

 犬の散歩中の、きれいな(あまり記憶ないのでたぶん)
 お姉さんがこちらを見て元気よく
「おはようございます!」と声をかけてくるではありませんか。

 一瞬何がなんなのかわかりませんでした。

 顔をみました。

 全然知らない人です。

 頭の中の思考回路が2秒くらい、グルグルまわりました。

 「誰かと間違ってる?」

 「何か怪しい人?」・・・それを言うならこちらの方が怪しい

 「でも、挨拶返さないと悪いな」
  
 と2秒で判断し「おはようございます」と挨拶を返しました。

 しかし、笑顔でなく、不思議そうな、
 悪く言えば怪訝な顔をしていたことだと思います。きっと・・・。

 結局、ことの真相はわかりませんでした。

 でも考えてみたら、人通りの少ない朝の街ですれ違って、
 挨拶することって別にそれほど不思議な光景ではありません。

 田舎なら当たり前の光景かもしれませんよね。


■その後、数分間、内省しました。

 声をかけられた瞬間、反射的に笑顔で
 「おはようございます!」と何故、返せなかったのか。


 そして、ふと思い出したのです。

 これが、まさに昔読んだ、ヤンカールソンの
 「真実の瞬間」そのものだと・・・・。


■「真実の瞬間」とは、たしか、1980年代、経営再建中の
 スカンジナビア航空のサービスマネジメントの向上を図る
 取り組みの重要キーワードだった思います。

 すなわちスタッフの一瞬の印象が、
 その企業のイメージをつくるのです。

 たとえば、有名レストランでも、お客様とのコンタクトポイント、
 にいる最前線のスタッフの印象が、
 そのレストラン全体の印象をつくってしまいます。

 スタッフの印象はマニュアルを暗記するだけではかなわない
 咄嗟の対応が求められることも多いのです。

 「犬の散歩のお姉さんに突然挨拶されたらどう対応するか」と
 いくら、マニュアルを覚えて訓練したとしても、
 状況が変わると対応できないことでしょう。

 エレベータで、「何階ですか?」と聞かれて、親切に
 ボタンを押してもらった瞬間に
 笑顔で「ありがとうございます」と言えるかどうかというように。

■ブランドイメージをお客さんに浸透させる「真実の瞬間」を
 どのように対応できるようにすればよいかは、
 別の機会に考えたいと思います。

 あなたの会社やお店で、お客様が感じるブランドイメージに影響する
 「真実の瞬間」とはなんでしょうか?

 そして対応はじゅうぶんできているでしょうか?
引っ越しで無くした「柔道二段の証書」の情緒的・感情的価値を探る
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■20数年以上前の引っ越しの時、なくした大事なモノがあるんです。

 それは、柔道二段の証書。

 高校3年の時、大変苦労して二段に昇段しました。

 二段の昇段試合は、初段同士が対戦し、勝てば1ポイント
 
 引き分けたら、0.5ポイント

 勝ちぬきなので、勝ち続ければ1回の大会で3ポイント、4ポイントと
 獲得できますが、勝ち抜きとは、でてくる相手は初戦なので
 ピンピンに元気、

 そのため余程強くなければそうそう何人も勝ち抜けません。

 逆に一人目で負けたら、その大会はそれで終わり、つまり勝ち点0で、

 1、2か月後の次の大会へとなります。

 その積み重ねが、10ポイントになったら昇段という流れです。(当時は)


■超強い選手に、即負けした大会もあったので、たぶん7~8回くらいの
 大会をへて、ようやく手にしたニ段の証書。

 そんな大事な証書を、引っ越しの際、どこかに失くしてまったのです。

 その当時は大変ショックでした。

 おそらく、段ボール箱に紛れて捨ててしまったのだと思います。

 その後も10年くらいは「せっかくの証書、もったいないなー」と

 何度も思い出すことがありました。


■それから時は立ちました、つい先日、何かのきっかけで

 再発行できることを知り、講道館に電話をかけたのです。

 すると、なんと、生年月日と、名前が確認できたので、1万円の手数料で

 再発行できるではありませんか。

 しかし・・・です。

 以前は、失くしたことを大変悔やんでいた証書、

 いざ、再発行できるということがわかると
 「本当に必要?」という気持ちが芽生えてきたのです。

 10数年の経過が何かを変えたのでしょうか。

 ・実際に、もう体力もないし、体も動かないので、
  全く二段の実力なしです。たぶん白帯に負けます。

 ・額に飾っても誰もほめてくれません。

 結論・・・「記念に再発行してもいいけど、当分必要ないか」
  となりました。


■柔道二段の証書の自分にとっての価値を分析すると


 ・機能的な価値・・・・・ なし

 もし、警備会社に入社する際に、その証書が有利になるなら
 機能的な価値になりうるが、そういう予定はない

 ・情緒的・感情的価値

 本当に、まだ実力を備えていて、その証として保有しておきたいという
 ことであれば意味があるかもしれないが、もう実力はない

 「額に入れて、飾って強さを誇示したい」という欲求があれば
 価値があるかもしれないが、そうではない。

 敢えて言うならば、昔、頑張って入手した証書へのノスタルジー的な
 価値でしょうか

 結論として、1万円払う以上の価値を見出せないために、再発行は
 保留となりました。

 しかしノスタルジーとしての価値は、まだ完全には無くなっていません。
 いつか再発行する可能性はあります。

 あなたが、ノスタルジーを満たすために1万円くらいなら
 支払っても良いと思う商品、サービスはありますか?
「カレー」より「カリー」のほうが美味しそうに感じる(個人的に)はなぜか?
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■先日、事務所の近くを自転車で走っていたら
 「船場カリー」という店の看板が目に飛び込んできました。

 ずっと前からある店で、とくに何か変化があったわけではありません。

 しかし、ふとその日に限って「カリー」という言葉が気になりました。

 なぜこの店は「カリー」と表現しているのか?と
 
 英語のつづりは「CURRY」です。

 インターネットの音声付の辞書では、
 「カ」にアクセントがある「カリー」と発音しています。

 ということは、英語では「カリー」ということになります。

 でも、ほとんどの店は「カレー」です。

 カレーのチェーンとしては日本で唯一1000店舗以上展開するグループも
 「カレーハウス」です。
 
 実際の英語の発音と、日本での発音が違うということは山のように
 あるので今更、とやかく言うことではありません。

 「ラジオ」と「レイディオ」のように


■ここで申し上げたいのは、ぼく個人的に、
 「カレー」と「カリー」感じかたが、ぜんぜん違うということです。

 「カレー」は家でつくるカレーライスをイメージします。

 一方「カリー」は、エスニック感満載の本格的なインドの
 カレーをイメージします。

 ナンやタンドリーチキンがついてくる、あれですね。

 日常的にランチとして食べる場合は「カレー」

 ちょっとした非日常は「カリー」という感じ方でしょうか。

 もちろん、感じ方は人それぞれです。

 したがって、お店が意図する、ターゲット顧客(ペルソナ)
 にどう感じてもらうかが重要です。

 冒頭のお店は、ぼくのような、特にカレーにこだわりがなく
 好きでも嫌いでもない人間がペルソナなら、ぼくがどう感じるかは
 重要です。

 でもぼくがペルソナでなければ、ぼくがどう感じるかは参考にならない
 ということになります。

 あなたは、「カレー」と「カリー」で感じ方は違いますか?

 そして、あなたの扱われる商品、サービスで、少し表現を変えることで
 感じ方が違ってくるというケースはありますか?

 今回と同じケースとして

 「ミンチカツ」
  ・・・・家でつくるカツ

 「メンチカツ」
 ・・・・洋食屋さんでデミグラスソースがかかっていて美味しそう

 もちろんこれも、ぼく個人の感じ方です。
「携帯電話のない時代」の行動パターンとペルソナについて
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■いきなりですが、あなたが物心ついたときから携帯電話って
 世の中に出回っていましたか?

 ぼくが初めて、購入したのは1994年です。
 当時で初期費用8万円くらい支払ったよう記憶があります。

 その時代はまだ、10人に一人くらいしかもってなくて
  電車を待つ時、おもろに取りだして、ちょっとかっこええかな?
なんて考えてました。今から考えたらアホですね。

■世の中の技術は日進月歩ですが、こと自分の生活に限っていえば
 中学、高校生の時以降
 これまでの生活や習慣を最も大きく変えたモノの一つが「携帯電話」です。

 (それ以外としてインターネット、パソコンかな)

■さて同年代の人へ・・・・携帯電話の出現で、
 待ち合わせの方法が大きく変わりましたよね。

 思い出すのが年に1回、正月の大学同級生の集まりの際
 阪急梅田のビッグマン前で待ち合わせをしていました。
 
 遅れてなかなか来ないメンバーを30分くらい待っていたことがあります。

 翌年からは知恵を働かせて、先に店を決めておいて、遅れた場合は
 店に行くというルールにしました。

 そのように遅れてくる者もいるとはいえ、その時代は
 待ち合わせは、場所をしっかり決めて、時間を守るということを
 当たり前に認識していました。でないと困るので。

 「ビッグマン」前と言っても、紀伊国屋に向かって右側
 とか細かく決めていました。

 東京でいえば新宿のアルタの前のどのへん・・・というようにですね。


■しかし今は、友達との待ち合わせを、携帯電話が
 つながること前提に、3時ごろ南海難波でというような
 方法が多いようですね。

 もちろんビジネスの場合はこういうことはありませんが。

 別に、昔はきっちりと時間厳守だったのに、今はいい加減だと
 いう道徳感の問題を話すつもりはありません。

 画期的な技術革新が行動パターンを大きく変えてしまうなー
 ということなんです。

 物心ついた時から、その画期的な技術革新の恩恵を
 受けていた人と、社会人の半ばにその技術革新に触れた人では
 価値観も行動パターンも大きく違ってくるとつくづく感じます。

■ブランドづくりでは、「誰」に「どんな価値」を提供するか
 を突き詰めて考えていきます。

 「誰に」の部分は一人の人物像を「ペルソナ」(注1)として描きますが
 どの年代の時に、大きな技術革新と遭遇したかによって
 ペルソナの内面って大きく違いますね。

 あなたの商品、サービスの場合、「ペルソナ」を描く時
 大きな技術革新といつ頃で会ったかは、重要でしょうか?
 そうでないでしょうか?

 もしあるとしたら、それはどんな技術革新でしょうか?

※自社の商品、サービスの価値を最も喜んでくれる
  顧客ターゲットを一人の人物として描いた人
「買ってよかった」という日が来ないほうがよい商品
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■以前、あるサービスの営業をしていた時期があります。

 それは、関西の某、大手電力会社の子会社が提供する
 あるサービスでした。
 
 その商品は、

 「そのサービスを申し込んでおいてよかった」

 という日がこないほうが良いサービスです。

 いったいどんなサービスと思われますか?
 ↓
 ↓
 ↓

 答えは「ホームセキュリティ」です。

 自宅に、泥棒は入ったら、センサーが反応して、

 警備員がやってきて、被害を未然に防ぐというサービスですね。

 「サービスを利用していてよかった」ということは
 泥棒が入った(入ろうとした)ということなので、
 そんな日が来ないほうが良いということですよね。

 ただ、現実は、泥棒が入らなくても(入ろうとしなくても)
 申し込んでいる方の満足度は高いようです。

 それは、サービスを利用していることによる安心感です。

 ・安心して、家族で海外旅行にいける

 ・旦那さんが出張中でも、奥様が安心して寝れる

 というように。

 この商品の特長は、これまで全く関心の無かった人でも
 いきなり関心が高まる点です。

 近くの家が、泥棒に入られたということで、いきなり突然ニーズが
 発生し、申し込んで来られることがよくあります。

 ところが、その時、利用しようがどうか迷った挙句、
 利用されなかったから、関心は一気にさがります。

 しばらくたって、再度営業フォローをかけても、
 もうその時は、関心が全く冷めているのです。

 「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ということです。

 これは予防商品の特徴らしいですね。

■「サービスを利用していてよかった」という日が
  来ないほうがいいという予防商品も、
 立派な価値を提供している商品です。

 しかし、ぼくは、できることなら「利用して良かったと心の底から
 思ってもらえる」価値を提供していきたいと思います。

 繰り返しますが、予防商品も立派なサービスですが。