5月も去ろうとする日に
ふた月毎の約束の
病院通いは おっくうで
うんざりするよな待ち時間
ふいに 何処からともなく
ほのかに漂う癒しの香りが
優しく私を包み込んだ
読みかけの文庫から目を離し
辺りを見回しては
誰かに問うてみたいまま
名前を呼ばれて
診察室へ
「訊きたいことは ありますか」
ひと通り 検査データを述べた医師に
「これは何の匂いですか?」と
問うてみれば
当惑気味の困り顔に
慌てて場違いな問いを引っ込め
そそくさとお辞儀をする
エスカレーターで
一階の会計に降り立てば
淡いままに いっそう充ちた
フレグランスに身を委ね
半ば酔いしれながら
「全館でアロマをしているのですか?
アロマの名前を教えてください」
怪訝そうな顔をして
けれども親切な職員さん
あちらこちらに問い合せてくれ
「特に何もしてないそうです」
それ以上は追いかけられず
お礼もそこそこに
道路を挟んで向かいの
薬局へと急ぐ
手にしたはずの処方箋が見当たらず
どうやら途中で落としたらしい
気恥ずかしさに頭を搔きながら
今 来た道を後戻りして
私は思わず 声を上げた
病院隣りの空き地には
小さな白い花の房を
びっしりとつけた樹々が
壁づたいに連なっており
風がサーッと流れるたびに
大自然のアロマテラピー
白い花びらが揺れるたびに
上質の石鹸を泡立てたような
かぐわしい香りを
そこいらじゅうに振り撒いて
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*
病院の側壁には人通りの少ない自動ドアの出入り口があり
開くと風に乗ってサーッと花の香りが送り込まれるのでした
気象条件が重なっての風の計らいだったのかもしれません
(あ!処方箋は道端に落ちてたのを発見)
翌年、同じ時期、芳香を楽しみに検診に出掛けたところ
あろうことか空き地ではビルの建設が始まっており
あの日の光景は すっかり消えていたのです
残念ながら花の名前は判らずじまい
香りにばかり気を取られ花の記憶が曖昧で
当時、ガラケーで撮った写真はピンボケすぎて
来年、撮り直そうと削除したのが悔やまれます
初夏に咲く芳香の白い小花の樹木を検索すると
石鹸の樹とも呼ばれるエゴノキ、チシャノキなどが
あげられています
チシャノキ
※画像3点はウィキペディア、森林総合研究所からお借りしました
そういえばマンションの生垣の一画の白い小花、
ネズミモチの花はチシャノキと似ています
こちらはムスク系の濃厚な甘い香りを放ちます
綿棒のような蕾もカワ(・∀・)イイ!!
名前の由来は 黒い実が鼠のフンのようで
葉がモチノキみたいだからだとか
モクセイ科ならではの芳香 虫たちにもモテモテ
毒を持っているので誤食には気をつけて
けれど実には滋養強壮作用があり
葉は消炎・鎮痛作用があり
生薬や漢方薬にもなっています
気持ちを落ち着かせる鎮気作用も
風水では成長と繁栄を促し
空間の気の流れをバランスよく調和させ
東に置くとポジティブなエネルギーを引き寄せる
縁起の良い木とされています
詩はブログを始める以前の10年以上前のことで
毎年、この時期になると思い出してしまいます
香りと記憶は紐づいてて
ブルースト効果と言って 特定の香りを嗅ぐと
その時の記憶や感情を想い起こす作用があるそうなんです
その逆パターンで 毎年、5月末から6月にかけて
あの日のことを思い出しては 自分の中で
あの時の香りを蘇らせてます(幻臭?)
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