1990年台のことだ。
勤務先の企業が、CS放送のトランスポンダーの利用権を買うことになった。所属する企業グループ(昔風に言うなら「財閥グループ」)からの要請だった。恩があったので断れなかった。
購入価格は億円単位で済まなかったと記憶している。
急遽、本店の統括部の部長と次長をメンバーとする、トランスポンダーを有効活用するための「検討委員会」が組織された。
災害で地上回線が途絶した場合に多数の音声回線が使える。動画と音声を同時に使った社内放送ができる、などのメリットがあった。
活用方法案を持ち寄る「検討委員会」に後輩のM君が代理出席した。彼は、「活用しない。」という前代未聞の提案をした。彼は、無駄な追加投資をするのは無駄遣いという考えだった。
私も代理出席したことがあった。尊敬していた他部の部長の発言に注目した。
「毎朝、社内放送で会社が伝えたいことを放送しよう。リハーサルに時間を費やして完璧な放送を目指すのは避けたい。即興放送で構わない。多少とちっても、それを許すカルチャーにしたい。」
この見識ある部長は、残念ながら癌でお亡くなりになった。