孤独便  -2ページ目

商店街から人が消えた日に

 

牛乳瓶にタンポポ挿して

 

自転車のサドルの上に置いたのさ

 

太陽の中で立ち尽くす

 

店は今日も開いてるよ

 

見上げた虚空は神隠しの巨大な風呂敷さ

 

どこいった

 

とこいった

 

みんな

 

みんな

 

どこ消えた

 

やがて一羽の鴉が

 

タンポポ啄んで

 

遠くへ遠くへ

 

飛んでいく

 

まるで太陽の

 

黄色い背骨を折るように

 

死よ

駆けるな

生が追いつけぬ

 

死よ

立ち止まるな

生が衝突する

 

瞳よ

世界に答えるな

涙は腐敗した水だ

 

血よ

言葉を狩れ

すべての名前が嘘になるように

沈黙をかかえたまま

 

そっと言葉のなかに飛びおりた

 

屋根のない言葉は

 

沈黙を雨ざらしにして

 

ふるえる声と

 

おおげさな泣き声が

 

濡れた沈黙の

 

最初の傘だ

 

 

 

夜明けまえのふかい暗闇は

 

屋根もなく

 

傘さえ奪われた沈黙の峠