「また、教育長がね~」
「えっ、またですか~」
私の周囲では、こんな一言だけで、さいたま市教育長がまた「トップダウン」で何か始めたな!ということが通じ合うのです。
「師走」、さもなくても大忙しの学期末なのに・・・
12月の「校長会」で、次のような主旨の説明があったそうです。(私が知り得た情報をまとめた内容です)
(株)リクルートのスタディサプリ(デジタル教材)を、年内に学校が導入を決めれば、
一人当たり年間480円(税抜)で、来年度から5年間同じ価格で使える。
各学校長は17日まで(「2学期中」という情報もある)に返答すること。
つまり、
①市教委が推薦する特定企業のデジタル教材を、各学校が導入するか否かを決める。
(「授業や宿題では使わない」という情報もあれば、「使うことも考えられる」という情報もあります。
さらに、「休校になったら、授業に代わる動画が必要だから導入する」という情報もあって、混乱状態。)
しかも、
②多忙な2学期末までに決める。
そうすれば、
③一般には年間23760円(税抜)の値段の約50分の一という廉価で5年間使用できる。
ということです。
さいたま市では、すでにベネッセのミライシードというソフトが導入済みです。
なのに、別のサプリを導入したいとは?
妙だな?と思いませんか。
・特定の民間産業の教材をきちんとした規準もなく教育委員会の判断で公教育に導入して良いのだろうか?
・校長や学校の先生は、スタディサプリの内容も見ていないのに、どうして導入など決められるのだろうか?
・コロナの「第6波」を気にするのは分かるけれど、どうしてそんなに急ぐのだろう?
・安価で釣って、企業間競争で優位に立とうとしているのかな?
全小中学校と、全ての家庭に関わることですから、「廉価」で踊らされ「期間限定」で導入してしまうなんて、在り得ないことです。
ことは、子ども達の学習に関することです。
それを、「TVショッピング」のように決めてしまうなんて、否「TVショッピング」でさえ、画面を通して商品の説明がありますから、それ以下です。
もう、空いた口がふさがりません。
しかし、さいたま市の特徴はあったとしても、こうした現象は、どうも全国共通のように思えます。
特に、中央政府との関係の深い政令市では、トップダウンが激しくなるのは必然だと思います。
例えば、大阪市では、「凸版」の開発したデジタル教材を使っているようです。
「えっ」と思いますね。
「凸版」は「教育産業」ではなかったからです。
このように、今や「公教育」の場は、「旧教育産業」だけでなく民間企業にとって儲けが確実に見込める「草刈り場」と化しているわけです。
これは、GIGAスクール構想の大きな目的の一つでもあるのです。
昨年度中に、学校に「1人1台のPC端末(タブレット等)」と「高速ネットワーク」というハード面での条件が揃い、
今年度は、それが実際に使われ出し、いろいろな不具合も改善されつつあるのです。
そうすれば、これからは公教育の場は、企業利益にとっては「草刈り場」です。
さいたま市だけでも10万人の生徒の「個人情報」が入手できます。
こんな安定した「市場」はなかなかあるものではありません。
そうした背景があり、企業間競争が激しくなっているのでしょう。
だから、「安価」で釣り、「急ぐ」のでしょう。
私が調べたところでは、リクルートのサプリは、授業動画のようです。
だから、「第6波」で休校になれば授業の代替として必要だというのかも知れません。
しかし、これとて問題が大きすぎます。
子ども達が家で動画を見て、授業で扱う内容を理解できるのか?
担任の教師は「宿題」をどうすればいいのか?
いやいや、きっとリクルートが「宿題」ドリルも開発するでしょう。
授業動画ももっと改善して、学校の授業より面白いものになるでしょう。
「教師」も、専門性は不要です。PCに詳しいアルバイトで良いのです。
だったら、学校に行かなくても、家で基礎的な勉強をすれば良いのです。
実は、経産省には、これは大歓迎なんです。
GIGAスクール構想の行き着く先の土台ができるからです。
ここから先は、デジタル庁、経産省の戦略になるので、今回は避けましょう。
では仮に「休校」になった場合、私達が先ず第一に考えなくてはならないことは、何でしょう?
この1年半の経験から、子ども達のために必要なことを、今から真剣に考えることこそ大事だと思うのです。
今年1年を振り返って、丸ごとの「子どもの成長」を考えてみることが重要ではないでしょうか。
第一に考えられるべきことは、子ども達の心身の健康と成長に心を砕くことだと、私は思います。
仮に「休校」になったとしても、どうやったら、子ども達の遊びやみんなと会える機会を作ってあげられるだろうか?
先生方と保護者とが、ほんとうに真剣に知恵を出し合ってほしいと思います。
子ども達に「三密」が禁止され、マスクが強いられて、もうすぐ3年目を迎えます。
「分散登校」がどこまで可能なのかも十分に検討されなくてはならないでしょう。
校庭を活用した子ども達のサポートも必要でしょう。
こうしたことも検討しないで、どうして「スタディサプリ」だけが先行するのでしょうか。
オンラインに頼ると、保護者への負担が大きすぎてしまうことや、十分に親が管理できなくて子どもがどんどんネット環境に入って行ってしまうなど、デメリットも多く経験しました。
来年は「コロナ」3年目。
心身の成長期にある子ども達のことを皆で真剣に話し合っていきませんか。
教育委員会には、そうしたことが現場で可能になるような条件整備こそ急いで欲しいと思うのです。
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2021年度の設置コース
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