大工道具のミュージアムは感覚で学びましょう | El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

2015年1月4日から「Diario de Libros」より改名しました。
メインは本の紹介、あとその他諸々というごっちゃな内容です。
2016年4月13日にタイトル訂正。事務机じゃなくて「事務室」です(泣)。

先日、神戸市にある竹中大工道具館に行ってきましたのでそれについて少し。

 

新神戸駅からすぐのところ、だったのですが、駅の本当に端っこ、駅のすぐそばから見上げるとホームが途切れてそうなところの道路はさんで右手の、コンクリート壁の上にうっそうと木々が茂っている敷地に沿って歩いて入口にたどりました。

 

中に一歩足を踏み入れると外から見た通り木がたくさん生えている、日本庭園。そこからまた少し歩いたところに建物が二つあって、手前左側が建物でした。自動ドアに近づくと木がフワッと香る不思議な感じ。

鉋形のチケットを買ってまずは、一階ホールの特別展示「鉋台をつくる 東京における台屋の成立と発展」を見学。鉋台とは、あの鉋の四角い箱状の刃を支える部分。そんな細かい所にも職人技が光っていたのです。個人的には、整然とした仕事場の様子がまぶし過ぎました(苦笑)。職人たるもの、整理整頓は大事。

 

さて、常設展示の見学順序は地下一階から地下二階へ。歴史解説の始まりは磨製石器! でも黒曜石の打製石器で肉はともかく、見た目鈍そうな磨製石器で木を切るなんてさぞ大変……と思っていたのですが、検証実験の映像を見ると木を切り倒すのに打ち込んだ回数は千回未満。けっこうイケてました。歴史をはじめ、大工道具について体系的に学べる点は唯一無二といえます。

本博物館の特色の一つが全て写真撮影OK! ただ言い添えておくと、年表などは目録にありますので、買う予定のある人はカメラのメモリーを展示品に回した方が良いと思います。あとお触りはOKとNGが混じっています。この辺がちとややこしいですが、まあ触れたくなったらちらと注意書きを見ればよいでしょう。あと引出しに貴重な展示品があることもあるので要チェック。

同じ機能の違う道具が残した木くずを実際に触って比べてみるなど、感覚に刺激を与える展示の工夫に舌を巻きました。

歴史検証の苦労も垣間見えました。昔の道具は残っていないため建物に残る削った後から推定復元した道具、なんてのもありました。まるで恐竜の足跡の化石から種類や大きさや割り出すような話です。

一度リニューアルをしたようで、タッチパネルで日英中韓語の解説文が読めるようになっています。ずいぶん前に録られただろう映像も上手く取り込んでの最新解説システムに道具館側の本気が感じ取れました。何を評価してほしいか、どこを学んでほしいかが明確なのです。

 

帰りにはミュージアムショップで目録と、樹木文字の手ぬぐいを購入。木偏の漢字がびっしり染め抜かれています。定番の日本みやげにありますよね、魚偏の漢字をびっしり集めた湯呑とか。ありそうでなかった、でも大工道具のミュージアムにぴったりの一品です。“とどまつ”って「なんか一文字+松」じゃないんだ。

 

本館とは別に、入口から見て奥の突き当たりに休憩室と銘打たれた平屋の建物があったのですが、そこは文字通りの休憩室でテーブルとイスが何セットかと、奥に自販機コーナーとトイレが設けられたシンプルなものでした。よく美術館や博物館にはカフェが入っていますが、案外こうした施設の方がよいのでは?とも思いました。そこでトイレ休憩と目録と手ぬぐいをリュックに詰め直してから、この大工道具のミュージアムを後にしました。

 

ま、そんな感じの竹中大工道具館見学でした。