「第二次大戦に参加した米軍用機中の最多量産機は?」 | El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

2015年1月4日から「Diario de Libros」より改名しました。
メインは本の紹介、あとその他諸々というごっちゃな内容です。
2016年4月13日にタイトル訂正。事務机じゃなくて「事務室」です(泣)。

こう問われて即答できるミリタリーマニア、案外少ないんじゃないでしょうか。最強戦闘機といわれるP-51マスタングでしょうか。零戦と熾烈な戦いを繰り広げたF6Fヘルキャットでしょうか。はたまた兵站こそ強さとばかりC-47輸送機でしょうか?
B-24リベレーターだと明かせば、たぶん驚くでしょう。B-17と並ぶ連合軍の主力重爆撃機であり、全幅約33.5m、全長約20m、1200馬力前後のエンジンを4発備え、最大で5.8tもの爆弾を積めます。
その数、「同系機を合わせると19,000機以上」(p.34)。日本軍の敗因を敵の物量でなく己のまずさに求めようとする真摯な日本人ミリオタや軍事専門家の決心を絨毯爆撃してくれてます。

今日紹介する『世界の傑作機No.160 B-24リベレーター』は、その開発経緯や各型の解説、設計したコンソリデーテッド社の略史などいつもながら充実。戦歴はこの爆撃機を有名にした、ルーマニアの油田地帯プロエスティの爆撃作戦にスポットライトを当てています。写真も図像もカラーも含めて豊富。特にノーズアートは機首側面が平面なおかげで芸術レベルのものも。
米国の航空機大量生産を下で支えた自動車業界の記事も詳しい、のですが、内情が結構ひどい。生産システムで我流を通したり、不良品出し過ぎて受取拒否されたり、従業員の常習欠勤続出したり……これでよく勝てたなぁ。

一方、個人的に気に入ったのが、B-24に乗り戦ったハリウッドスター、ジェームズ・スチュワートの小伝。自己宣伝になるからと黙して語らなかった彼の戦歴は、同僚の回想から明らかになっています。正確な航法、適切な判断力、部下のミスもまとめて負う責任感と、彼が本物の武人だったことがうかがえます。そんな彼の目立つ職権濫用案件が「空を飛びたいという子供時代からの基本的な欲望」(p.125)を満たすための行動への緘口令だったとか、気持ちいいじゃないですか。


Honduras obtuvo 3 unidades de P4Y-2 Privateer desarmados como transporte de la aviación en los 50.
(ホンジュラスは非武装のP4Y-2プライヴァティア3機を空軍の輸送機として入手した。)


『世界の傑作機No.160 B-24リベレーター』
文林堂
高さ:25.7cm 幅:18.5cm(カバー参考)
厚さ:0.8cm
重さ:421g
ページ数:143
本文の文字の大きさ:不定(最小3mm弱)