4月1日。

 

泣きそうなくらいの緊張と忙しさの中で、
勤務時間はあっという間に過ぎていきました。

 

その日は残業もなく帰された……のだと思います。

 

というか、残業とか何とかいう前に、
自分がいったい何の話を聞いているのかも
よく分からない状態でした。

 

 

4月最初の職員会議の資料は、
厚さ1センチくらい。

 

各担当主任からの話も、
それはもう多岐にわたります。

 

いや、その前に
「○○主任」というのがどんな立場なのかさえ
よく分かっていません。

 

とりあえず、
自分が「落とし物担当」だということだけは
分かりました。

 

何をする係なのかは分かりませんが。

 

 

頭がぐるぐるしたまま、
今度は学年部の打ち合わせです。

 

私は幸いにも、
とても素敵な“お母さん主任”の先生と、
優しいお兄さん・お姉さんのような先輩方と
学年部を組むことになりました。

 

お茶やお菓子をお供にした学年打ち合わせは、
少しほっとできる時間だったと思います。

 

 

……とはいえ、
分からないことが分からない状態なのは
相変わらずでした。

 

 

ここで初めて、
「学級名簿を作る」という仕事を知りました。

 

そうか。
名簿って、もともとあるものじゃなくて
作るものなんだ。

 

そんなことさえ
分かっていなかったのです。

 

その頃は、
手書きやゴム印で名簿を作る時代から、
ワープロで名簿を作る時代へと
ちょうど移り変わった頃でした。

 

そして、我が家には
買ったばかりのパソコンがありました。

 

 

学年部のお兄さん先生はワープロをお持ちだったので、
お母さん先生とお姉さん先生は
その先生に頼んで作ってもらうことに。

 

私はというと、
「家で作ってきます」と言って、
名簿のもとになる名前一覧表を持ち帰りました。

 

 

家でパソコンの電源を入れます。

 

さて。

パソコンを買ったばかりの私。
ワープロは立ち上げたものの、
表の作り方が分かりません。

 

行の幅、列の幅、
どうやって調整するのかも分からない。

この列だけ広くしたいのに、
なぜか他の列まで広くなってしまう。

 

改行したくないのに、
なぜか勝手に改行してしまう。

 

卒論は親戚に借りたワープロで書いたので、
タイピングには自信がありました。

 

でも、
「表を作る」という作業が
こんなにも厄介だとは思ってもいなかったのです。

 

 

どうしよう。

明日までに作れなかったら、
仕事はどうなるんだろう。

焦りと悲しみで、
涙、涙……。

もう号泣でした。

 

 

今なら言えます。

 

「あのね。
2日目に名簿ができていないくらい、
どうってことないから。」

 

でも、
あの日の私には
とんでもない大事件だったのです。

 

 

涙声でお兄さん先生に電話をして、

 

「すみません……
名簿が作れませんでした。
私のクラスの分も作っていただけないでしょうか。」

 

そう言えたかどうか。

 

 

お兄さん先生はもちろん快諾してくださり、
次の日、無事に名簿を手にして
仕事を進めることができたのでした。

 

 

——思い出しても苦しい、
新任スタートの日々です。

 

 

 

さて、時代は令和。

今の先生たちは、
名簿を作る必要はありません。

 

校務ソフトの導入によって、
旧学年部が学級編成をした時点で、
新しいクラスに並び替えた名簿が
自動で出来上がるのです。

 

昔は全部手打ち。
その前は、手書き。

 

そう思うと、
その点は本当に便利になりました。

 

 

なのに——

なぜ忙しさは変わらないのでしょう。

それどころか、
心理的な負担は
むしろ増えているような気さえします。

 

 

 

まだ売っていましたか!

この書院はだいぶ進化した時代のものですね。

画面が大きくてカラーです。

その前は画面が2行でしたよニコニコ