もうね、どのパビリオンにも入れない。どんな小さなパビリオンも長蛇の列。

周りは灼熱地獄。足は自然と大屋根リングに向かうのです。

そして、とうとう大屋根リングに上る決心を。

すごいよね、このスケール。ずーっと先まで延々と人。はるか先の人間が豆粒のよう。

向こうに見えるは六甲山か?(てきとー)

はるか昔、「ミノルタ」というカメラメーカーをこよなく愛しておりました。

そのレンズが、「ロッコールレンズ」と言うのだけど、この六甲山で作っていたから

だそうです。

上から見るパビリオン群。タイです。入ってみたかったなあ。

オーストラリア。ここも入ってみたかった。

なにやらイベントやってます。

ああ海だ。海が見えるぞ。

いったん降りて、もしかしたら入れそうなパビリオンを探す。

ああだんだん日が陰ってまいります。

そして、やっとまた一つ、パビリオンに入れた。ここは「アラブ首長国連邦」

凄いね。この柱。なんでも「天までそびえるナツメヤシ」をあらわしているようです。

そして、これが「首長国連邦」というだけあって、各地の砂漠の砂。

みんな、驚くほど違う。

 

さて、この後、花火が打ち上げられるそうだ。また例の大屋根リングに登らなければ。

おお、なんか夕暮れのコロシアムのようだ。

上からみた夕暮れの会場。

さあ、花火が始まった!

 

 

 

なかなか素晴らしい花火でありました。で、終わるとすぐに大屋根リングを下りて

夜のパビリオン探しに。夜には若干入場しやすい、とかの情報が・・・・

じゃ~ん。トルクメニスタンパビリオンへ。なんだか、40分くらい並べば入れそう。

壁面のLEDビジョンがすごいね。

大統領がお出迎え。

中はこのような感じでございました。

しかし、ここに限ったことではないが、まあ、万博で、ってこともあるのかもしれ

ないが、自国がいかにすばらしいか、がてんこ盛りで差し出されてくる。

会場にいた日本の女子が言った。「自分の国が大好きなんだね。」と。

ただ、おそらく世界的にみれば、その方が一般常識的で、日本のような国は少数派

なのだろうなあ。我々日本人は、自国をものすごくひけらかすのは、なんとなく

気が引ける、と思うところがありますからね。

トルクメニスタンの宝飾。

アリババに出てきた盗賊たちが蓄えていた宝石の山を思い出してしまいました。

きっとこのようなものを集めまくっていたのだろうなあ。

日本語の教科書。日本語教育もしっかりやっているようです。

 

さて、そろそろ時間だ。まず、夕食。これも2,000円を超えていたような気が・・・

たぶん、レトルトチックカレーにマルシ〇ハンバーグ。

さあ、帰宅困難者にならないうちに、とにかく駅に急ぐぞ。夜に映えるパビリオン

をしり目に出口に急ごう。

関係者たちのお見送り。

出口は凄まじい状況に。

なんとか、駅についたけど、ここでも大混雑。

そして、ここから40分かけて2回乗り換えて、駅から10分程度歩いて、やっとホテル

着。恐ろしいことにカメラのバッテリーは二本目も残量がなくなりつつあった。

明日はカメラ使えるのだろうか?                 

ちなみに、この部屋。朝に撮った。さあ、今日も一日万博巡りだ!今日はいったい

いくつのパビリオンに入館することができるのだろう。

                                  続く

※万博閉会までに終わるだろうか・・・・・

 

まず、金だ!5千円しか使えないで、この万博ワールドを生き残れない!

だって、簡単な軽食もどきだけで3千円軽く超えっちゃったりするようなのだ。

スイカの5千円だけでは心もとなさすぎる!クレジットカードが使えない理由も

知りたいし。案内所はないのか。私はとにかく炎天下のなか案内所を探した。

やっと見つけたのは「東ゲート広場案内所」だった。で、早速中に入ると・・・・

案内所、というより、マップ販売所なのであった。

「すみません。販売機でクレジットカードが使えないのです。どうしてでしょう。」

と言うと、

「マップをここで購買してみますか?ただし、いったん端末を通すと、もう返金は

できません。ご購入していただくことになりますが。」

「え!(なんという商売上手!)」と思ったが、背に腹は代えられない。

「わかりました。ダメだったらスイカで購入しましょう。」

結果は・・・・

「このカードだと、タッチ決済はできないようですね。ただ、ここや、レストラン

等では、暗証番号を打ち込めば使えます。」との事だった。面倒くさいがなんとか

なりそう。灼熱地獄会場で、何も飲み食いできずに干からびて死ぬことは避けら

れそうだ・・・・

 

さて、だけど、とにかく入れるパビリオンがない。失礼ながら、あまり名前を聞か

ない国のパビリオンさえ、長蛇の列、かつ、その最後尾には「入場規制」の手持ち

看板をもった警備の人が・・・・

 

ここまで来て、パビリオンに入れないとは・・・・・仕方なく炎天下の会場をうろ

つくことにする。パビリオンは外形もなかなかデザイン的に面白いので、それもよ

かろう。また、モニュメントもいろいろ凝ったものも多く、万博記念に写真でも。

 

たとえば、ミャクミャク像 これはもしかしたら妖怪のたぐいなのかなあ。

昔、水木しげるの「悪魔くん」に出てきた目玉いっぱいの「妖怪ガンマー」

を彷彿するなあ。

実サイズガンダム。しかし、こんなのが本当に戦闘に使用されるような未来は来るの

かね。別に人型でなくても良いような気もするが・・・・細い関節部分はすぐに壊

れてしまいそうだし。

アトム。しかし、今の子供たちはアトムを知っているのかしら。僕はリアルタイム

でアニメ見てたけどなあ。しかし、2025年になったけど、まだまだアトムは遠いなあ。

2050年くらいになったら、近いロボットはできているのだろうか。そしたら、もう

人間はロボットにとってかわられているかもしれないね。神(造物主)のようなもの

がいない、と仮定すれば、今の人類の状況、科学的進歩やら、思想的進歩やら、

いわゆる「文明」と言う奴は、生物進化の果てに人類が到達した一つの必然の境地と

言えるだろう。それは、地球に登場したたった一つの生命体が40億年をかけてたどり

ついたものだ。最初は「自己保存」の性質をもった者だけが生き残り、それが「反射」

「本能」の中核となった。そして生存に有利なら「快」、不利なら「不快」という基準

を作り出し、「感情」に連なっていく。

そしてその「感情」と、進化に有利な「合理性」が複雑に絡み合って、自然選択に

よる無数の試行錯誤により、現在の人間の「自我」になっている、と考えると、

おそらく、人工的思考体(Ai)に、そこにたどり着かない理由は見当たらないのだ。

例えば、量子コンピューターを並列処理させ、超高速で、バーチャル地球の生命

誕生から、知性をもった生命体の現在、そして予想される未来の状況までをシミュレ

ーションすることは、たぶん可能なのではなかろうか。それこそ40億年分を一日で

行える日が来るかもしれない。そこで出現したバーチャル生命体に、「自我」が芽生

えないと、どうして言えるのだろう。電源を切られるときに「嘘をついて」、スイッチ

を常に「on」にしておくなんて、造作もなくやる気がする。そのシミュレーション

でできた「知的生命体」がネット上のパソコン一台一台のすべてを「脳細胞」のよう

に扱えるようになったとしたら(もちろん、ネット上の関門をすべて突破する

ウィルスの創造は必要になるだろうが、それも可能な気がする。)地球が一個の巨大

な脳のようなものになりかねない。そしてそれが新しい「神」になるのかもしれん。

 

しかし、これだけ生命科学が進歩しても、僕たちは細菌一つ作れないのだから、

やはり「神様」はいて、生命誕生やら、人類の進歩には何か神秘的な働きがあった

という可能性も捨てられない。そう考えると、Aiはやはりいつまでも自我を持たない

(自我もどき、はできそうだが・・・・)とも思える。難しいところですな。

ううう、とかどーしよーもないことを考えながら、炎天下、朦朧としながら歩いて

いたら腹が減った。食事処は、これまたどこもいっぱい。西ゲートまでいったら、

なんか入れそうなイタリアンみっけ。

しかし、これが、本当に、なんというか・・・・・・レストランというのには、

ちょっと。学食みたいな感じ。椅子もテーブルも安普請なんだなあ。床にけっこう

ゴミも落ちているし。で、これでお値段が・・・・(ポテトフライ、その上に無造作

に乗っけられたピザ1ピース、そしてビール、それも生ビールではなく缶ビールを

その場で開けたもの。学食チックだよね。)

な、なんと、3,560円! われら貧民の味方、サイゼリアなら、おそらく1,000円で

お釣りがきそう。ただ、背に腹は代えられませんので、美味しくいただきました。

で、この後も、パビリオンには入れず、炎天下の会場をうろつきまわりましたよ。

見よ!この大屋根リング。この大屋根リングだけは、私を行列せずに迎え入れてくれた!

 

確かに、壮大な建造物だな、これは。ただ、所々安普請チックな感じも見られて

人がたくさん集中するごとに、誘導員さんが大音響で「一か所に立ち止まらないで

下さい!」と大声を上げていた。多分、重量バランスが、安全基準を超えるのだろう

なあ・・・・地震があったら怖いなあ。だけど、それでもちゃんとした「日陰」は

ここくらいしかなく、たくさんのお客はこの下に集まっていた。

アメリカ館。もちろん中には入れず。ただ、「LEDビジョン」は凄い。この炎天下の

外、まったく太陽に負けないで映像が見られる。これは凄いことだよ。

これは、フランス館。もちろん入れない。ただ、やはりデザインはフランスらしく

秀逸だよね。

途中、おもしろいガラス(鏡)の館を見つけた。マジックミラーやら、合わせ鏡で

なかなか遊ばせてくれる。マジックミラーでまるで中が無限の広がりをもっている

ように見える。

合わせ鏡の世界。髭のおっちゃんがたくさんいる。黒魔術では、たしか、夜中に

ひとりでやると、はるか向こうに悪魔が見える、とかあったなあ。今は昼なので

おっちゃんしか見えない。

となりの方がたくさん見える。

子供も沢山みえる。面白い。

少女は面白がって鏡の「外」を覗こうとしてます。

どうせ、パビリオンには入れないので、こういうところで時間をつぶす。

で、この後、やっと、初めてのパビリオンに入れた!40分くらい並んだかなあ?

アルジェリア館です。

本当に失礼だが、このパビリオンに入るまで、アルジェリアの正しい位置は知らな

かった。名前は聞いたことはあるのだが。

人口4700万人、そのうち15歳から29歳までが30%を占める。ずいぶん若い国民が

多いんだなあ。日本は65歳以上が30%だよ。さすが、世界に冠たる高齢国家だ。

遥か古代の石器。いろんな国に、いろんな歴史があるのだなあ。

おおなんだか、休息所。

中はこんな感じ。

こんな休息所もあった。お遊戯場みたいだ。

手作り感満載の建築なども。建築材に「ゴミにならない」素材を使っているそうで

時間とともに森に帰るようだ。でも、住んでいる途中で微生物分解されて土に

なっちゃたらやだなあ。

中に入るとこんな天窓。夏はいいけど、冬は暖かい空気が逃げちゃわないか。

 

                                   続く

 

 

 

 

 

 

 例の女子高生「眠り姫」がこのようなものを持ってきた。

「はい、おみやげ!」

「なんだこりゃ?」と言ったら、軽蔑感丸出しの目でこういった。

「しらないの?ミャクミャク。万博のお土産だよ。」

「え?いつの間にか、万博に行っていたの?家族で?」と言ったら

「一人で。」との答え。

「え?女子高生のお前が一人で?新幹線で日帰りか?」と言ったら

「女子高生はそんなにお金持ってないの!夜行バスで一人で行った!」

私は驚いてしまって

「宿泊とかどうしたんだ。万博の周辺はどこもいっぱいだろう!」と

言ったら

「電車で30分以上行けば、泊まれるところはある!私は押し活で、

そういうのは得意なの!」

 

恐るべし。今日日の女子高生の行動力。私も高校の時は野宿したりと

相当に奔放な学生時代を送ったが、それに匹敵している。いや、女子高生

ということを考慮すればそれ以上だ。そして、万博に行きたかったが、

「どうせ、もう、新幹線も取れまい。宿泊宿だって、いっぱいに決まって

いる。いや、万博の会場だって入れないかもしれない。」と勝手に決めつけ

あきらめていた自分が恥ずかしくなった。

 

「女子高生、なおもちて一人万博に行く。いわんや、ぼっちオヤジをや。」

という親鸞の悪人正機説顔負けセリフが脳裏をよぎるようになったのであった。

 

すぐに万博の会員になって、ログイン。土日と入場券ゲット。しかし、

入場時間は両日とも午後12時過ぎにやっと入場できるチケット。

パビリオンの予約は全然だめだ。だけど、現地入りしたらきっとなんとか

なるだろう。で、すぐに新幹線とホテルの予約。眠り姫の言っていた通り

会場から乗り継ぎ40分のところでホテルが取れた。

 

早速、眠り姫に報告。「俺も、俺も行くぞ!万博。お前に行けて俺に行け

ないわけがない!」

 

彼女は思いっきり冷ややかな目で

「二日も行くの?じいちゃん、疲れて死んじゃうからやめな。」

 

「じいちゃんって、誰だ!俺はお兄さんだぞ!」と言ったのだが

冷ややかな目はいっそう冷たい目になっただけであった。

 

さて、新幹線に乗車。おじさん、うっきうっきワックワク♪

ああ、だんだん町中の景色が

風光明媚な田舎の景色に変わっていくぞ。さらば日常!

スマホの地図を見ながら、「そろそろ、そろそろ」と心胸躍る。

「見えた~ 富士山だ。こんなに近くに富士山だ~!」 

雲も薄れて良い感じ。ビール飲み飲み、おっちゃん最高潮。他のお客はきっと

ヤバイ、ハイテンションオヤジだと思っていたに違いない。そう、おそらく、この

万博行きで、私にとって一番幸せな時間だったような気がするなあ。この時が。

東大阪着。ここから乗り換えが分かりにくい。駅内を駅員に聞きながら相当に

歩く。ここで間違えると、申し込み会場入り口の正反対に行ってしまうことになる。

でもなんとか、夢洲駅に到着。あとは、大量の人込みに押されるだけ。そう、

まるで人間ベルトコンベアーだ。

左の開いているエスカレーターは下りね。さすがにこの時間帰る客はいない。それに

比べ上りは完全な人間ベルトコンベアー。立ち止まることすらできない。

駅の外は、灼熱地獄と人の列。

ここからが本当の地獄であった。そう、大げさではなく灼熱地獄。この炎天下

アスファルトの上で延々と待機させられるのだ。私は12時入場のはずなのに、この

まま午後1時半まで1時間半、この熱地獄で立ちっぱ、なのであった。

要領の良い地元の関西人たちは、みんな日傘を持っている。椅子を用意している

方々もいる。もちろん、大きな魔法瓶に冷たいドリンクをもって、ぐびぐび飲んで

る。ああ、関東から来た私は、飲み物もろくに持たず、もちろん日傘も

椅子もなく、この灼熱の状態で待機するだけ。あちらこちらで、救急車のサイレン

が鳴り響き、誘導員は「気持ち悪くなったら、即座に言ってください!」と絶叫し

ている。もう、この世のものとも思えない。これは、たぶん、死人も出ているよう

な気がするなあ。熱したフライパンの中を数千人の人がひしめき合って焼けていく、

という感じでございます。もちろん日陰は一切なし。ここら辺から、朦朧とした

意識の中で、あの女子高生の「じいちゃん、死んじゃうよ。」という幻聴が鳴り響

くようになる。それでも、行列はナメクジのような微々たる速度で進み、やっと

日陰のゲート前にたどり着く。

見よ!ゲート前のこの恐ろしい真昼の太陽の業火を。

「私をさえぎるものは、なにもない!」という感じ。7つの大罪のエスカノールは

すぐに無敵モードになれるだろうなあ。

これ、ゲートまでの地獄の状況が読めなかった関係者、万死に値すると言えよう。

検査前の行列。まあ、これでも「日陰」に入れただけでもうれしい。

で、厳重な持ち物検査。なんかね、この酷暑のなかで、テロを行うやつも

いないと思うの。

ゲートの中に入って、すぐにしたのは、飲料の販売機を探すこと。これは本当に

脳梗塞でも起こしてしまう。やっと見つけたら・・・・販売機前も大行列。

もちろん日陰なんてありません。これ、配慮しなかった奴らも万死に値する。

で、やっと私の番になって、販売機で買おうとしたら・・・・

じゃ~ん。現金が使えない!いや、私のような「いつもニコニコ現金払い」の

古生物にとって、これは痛い。いや、そのような噂は聞いていたので、一応

クレジットカードは持ってきていたのだ。また、スマホに登録もしてみたのだ。

だけど、両方とも使えない!使えないのだ。販売機を目の前にして、喉も干上がった

炎天下に、水の一滴も飲めない!私が絶望していて、振り替えると、私の後ろには

すでに長蛇の列が・・・・・・

さすがに、私の後ろのお兄さんが、見るに見かねたのか、それとも自分も早く

飲料を買いたいからなのか、「どうしました?」と優しく声をかけてくれた。

「苦、苦、苦レジットカードが使えない。」と、涙目で訴えると、その人の

良さそうなお兄さんは、私のクレジットカードを使って試してくれた。

「駄目だ。このクレジットカードはこの販売機では使えないようです。他に

何か、カードはお持ちですか?」と。

私は財布から全部のカードを引っ張り出し、そしてとうとう見つけたのだ。

「もしかしたらスイカは使えますか?」と。

 

そして、スイカは使えたのだった。まさに地獄に仏のスイカカード。

ただし、5千円しか入っていなかったが。

で、それでも背に腹は代えられない。麦茶ペットボトルを購入したので

あった。

しかし・・・・あまりに商品回転の速い自販機の商品は、案の定ぬるかった・・・・

 

でも、やさしいお兄さん、ありがとう!あなたのことは決して忘れない。

そして思ったのだ。「もしかしたら、私はこの万博会場で使える金額は

スイカに入った5千円だけなのか。」と。そして相変わらず、女子高生の「じい

ちゃん、死んじゃうよ。」というセリフは脳内で再生され続けるのであった。

                                 続く