「聖獣学園」
91分 日 1974年
監督 鈴木則文
原作 鈴木則文 沢田竜治
脚本 掛札昌裕 鈴木則文
撮影 清水政夫
音楽 八木正生
出演 多岐川裕美 山内えみこ 谷隼人
渡辺やよい 衣麻遼子 ほか
【完全ネタバレ】
イエス様はあなたのゴールデンシャワーも
受け入れてくださいます。☆☆☆★★
〔ストーリー〕
修道尼だった母親の死因をつきとめるべく修道院に入った娘が、母を死に追いやった司祭たちに復讐する。原作は、鈴木則文・作、沢田竜治・画の同名劇画。
原作が劇画漫画だそうで、それを知るとなんか納得。
男が喜ぶエロ漫画といった感じ。
原爆、戦争といったテーマを匂わせているけど、実際は都合よく使っているだけじゃないかな。
アンチ・キリスト教もこれといったイデオロギーは感じないし。
セントクルス修道院の司祭は、長崎で被爆し体に大きな傷を負う。
彼は神を讃えつつ実は恨んでいるという設定は面白いなと思った。
物語は、修道尼だった母の死因をつきとめるべく修道院に入ることを決意した主人公・魔矢(まや)が母を死に追いやった院長に復讐すると共に、出生の秘密を知ることになる、といった感じ。
主演・魔矢役は当時新人の多岐川裕美。本作で本格的なスクリーンデビューとなる。
「あれ、この人あの人に似てるなぁ。今志村師匠の番組に出てる子のお母さんに・・・。」と思っていたらその人だった。
主演とはいえ、ヌードを披露したり拷問シーンを演じたりなかなか覚悟がいる役どころだ。
オープニングクレジットの編集が時代を感じさせるけど、鈴木監督の趣味を感じる事ができる。
いい感じなんだけど、この多岐川裕美のプロモーションビデオみたいになっちゃってる(笑)
魔矢が、バラの茎で縛られ修道女たちにバラの花束でしばかれるというシーンがある。
画そのものはなんとも安っぽいんだけど、その演出の意図するところがカッコいいなぁとしびれた。
バラの花びらが舞うなか、美しく浮かび上がる女の肢体という構図は「アメリカン・ビューティー(1999)」を連想させるけど、茎針で身を裂かれるという拷問シーンはよりエロティックでいい。
↑「アメリカン・ビューティー(1999)」の1カット。
修道院の司祭が実は魔矢の父親だったというオチなんだけど、この司祭は修道女をレイプして回る。
魔矢は自身を父親にレイプさせる。
その近親相姦という罪で半狂乱になる父親。
「神はお前となって、今わたしの前に・・・」
父親は自身を救ってもらうためでなく、罰してもらうために神を望んでいたのだった。
司祭にレイプされ身ごもってしまった修道女が、新しい院長らからリンチを受けるシークエンスは最高だった。
鎖でイスに縛りつけられ、大量の塩水を飲まされる修道女。
その股の下にキリストの踏み絵が置かれるが、やがて彼女は我慢できなくなりそこへ放尿してしまう。
その罪に耐え切れず、修道女は舌を噛み切って自殺する。
くっだらねぇ(笑)と思いながら、かつての徳川時代におけるキリシタン狩りの際もこういう事が行われていたのかなぁと考えると、なにかロマンを感じた。
復讐を果たし、東京の街を闊歩する魔矢。
それがラストシーンなんだけど音楽もなく、歩く多岐川裕美の顔に「完」がかぶり突然終わるというなんとも変テコな終わり方でずっこけた。
ありゃ、ひどい(笑)