不良姐御伝 猪の鹿お蝶。 | 江戸の杓子丸

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化け猫 杓子丸の大江戸見廻覚書



「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」


88分 日  1973年

監督 鈴木則文

企画 天尾完次
原作 凡天太郎
脚本 掛札昌裕 鈴木則文
音楽 荒木一郎
出演 池玲子 根岸明美 クリスチナ・リンドバーグ
    岡八郎 林真一郎 ほか




【完全ネタバレ】


和服姿のクリスチナ!。☆☆☆★★




〔ストーリー〕
 明治末期を時代背景に数奇な出生の秘密を持つ不良姐御が、父親の仇を討つために変幻自在な活躍をしながら博徒の世界に殴り込んでいく。





クリスチナ・リンドバーグが出演していてびっくり。
嬉しい驚きだった。

クリスチナは、1970年代に一世を風靡したスウェーデン出身のロリータ系巨乳女優。









クエンティン・タランティーノ監督作品「キル・ビル(2003)」にアイパッチをした女殺し屋が登場するけど、「They Call Her One Eye(1973)」という彼女が主演した映画が元ネタなんだという。


↑「キル・ビル Vol.1(2003)」のエル・ドライバー(ダリル・ハンナ)

以前どうしても観てみたくてなんとか手に入れて観てみたんだけど、なんとも・・・(笑)

この「不良姉御伝」とは、スローモーションを多用したアクションシーンが共通点かも。






本作ではヌードシーン、レズシーンなどあるけど、設定はとてもロマンチック。

からみや主人公・お蝶の緊縛折檻シーンもあるけど、どれもやたら無駄に長いという事がなくてすごくバランスがよく作ってあるなぁと思った。




この作品は東映ポルノ映画の雄で、鈴木則文監督は千葉真一主演のアクション映画を演出したり、「トラック野郎シリーズ(1975~1979)」を脚本監督した監督さんで、女ヤクザ映画の先駆けだそうな。

カットひとつひとつを観ると、すごくいいんだけど、つながるとなんというか志村けん師匠のコントのようになる(笑)

何というのか、そのベタを作った映画なワケでこれが元ネタか、という事なんだけど観ていてわざとらしくてしょうがない。

カッコいい編集もあるんだけど・・・。




冒頭、きれいに着飾った女の子が父親と神社を歩いている。

彼女は一人転がり行く手まりを追っていく。
その手まりが止まったところに「凶」のおみくじが落ちていて・・・、次のカットで父親がドスを持ったヤクザに腹をえぐられるといった具合。

父親は刑事で、血まみれになった手でバラリと落ちた花札から猪鹿蝶の三枚をメッセージとして掴む。

これが見やすいようにきれいに持っているんですよ(笑)




お蝶が見受けし助けようとする娘・おゆきが岩倉土建の社長・岩倉に襲われるシーン。

このシーンはおゆきの夢なんですけど、カラフルな畳が面白くて「夢」という感じがすごく出てる。

いわゆる和服を着た女性の帯を引っ張って「ア~レ~ッ」と回るヤツありますよね(笑)

岩倉はおゆきにそれをやり、「本当に生娘であるかどうか俺が調べてやるわ」と股を割らせる。

そして何やら薬を取り出し、「この薬はな、お前を一晩で色狂いにしちまうんだ。ほうら、もう腰をヒクヒクさせているじゃねぇか・・・」ヒッヒッヒと笑う。

重なった二人を真上から撮った画がグルグル回り、寝ているおゆきのアップへと繋がる。


画ひとつひとつはすごくカッコいいんだけど、全編を貫くB級感がなぁ。

それがポルノ映画であり、これがいいのだろうけど。




ただオープニングクレジットや真上から撮った絵、そして殺陣のシーンがひたすらカッコいい。

お蝶がお風呂に入っている時に襲われ、全裸でヤクザ衆と屋敷内や庭を舞台に立ち回りを繰り広げる事になるんだけど、ここのスローモーションや走るお蝶の足元だけを撮ったカットで彼女が切り落としたドスを持った男の手がボトリと落ちてくるカットはしびれた。

このシークエンスを観れただけで、この映画を観てよかった。




そしてラスト、仇である黒川を追い詰める殺陣のシークエンスも最高だった。

お蝶役の池玲子、彼女がギラリとするどく睨む、その目力がホントにキョーレツ。

お蝶は鉄火場で刺され死にかけている男を抱きかかえ、「言い残すことはないかい?」と頼みを聞いてやったり、お蝶の仇でもある黒川を倒そうとする義憤に燃えるおぼっちゃんにちょっと憧れのような、少女のような淡い感情を抱いてしまうところをみせたりと応援したくなる演出がしっかり入っている。

池玲子は公称バスト98cmだそうだけど、う~ん、どうでしょう(笑)





YouTubeで全編がアップされてしまっている。

こちら

アクションシーンだけでも、男は濡れ場のシーンも(笑)チェックしてみてください。

11:37からですね。
もう最高!!