キャプテン・フィリップス。 | 江戸の杓子丸

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「キャプテン・フィリップス Captain Phillips」



134分 米  2013年

監督 ポール・グリーングラス

製作 スコット・ルーディン マイケル・デ・ルカ
    デイナ・ブルネッティ
原作 リチャード・フィリップス ステファン・タルティ
脚本 ビリー・レイ
音楽 ヘンリー・ジャックマン
撮影 バリー・アクロイド
出演 トム・ハンクス バーカッド・アブディ
    バーカッド・アブディラマン ファイサル・アメッド
    キャサリン・キーナー ほか




【完全ネタバレ】



自衛と抑止。☆☆☆★★


〔ストーリー〕
 2009年のソマリア海域人質事件をテーマに、海賊に拉致されたコンテナ船船長をトム・ハンクスが演じたドラマ。
 
 船員の救出と引き換えに4日間にわたって海賊の人質となった船長の運命と、海軍特殊部隊ネイビーシールズによる救出作戦を、緊張感あふれる演出で活写する。







2009年に実際に起こった事件を基に作られた映画ということかな。

134分か、なかなか長いな。
観ていて長いとは感じなかったけど。


すごいな、と思った。

冒頭、フィリップスはコンテナ船アラバマ号の船長であり家族を大切にする普通の男である事が説明され、そして海へ出る。

一方、海賊のリーダー・ムセについても説明され、セオリー通り20分経ったくらいから物語は動きいよいよ両者が接触する展開となる。

ムセら海賊がアラバマ号に侵入、シージャック、フィリップス船長が人質として海賊らと救命ボートへと連れ去られる。
ここまでが前半で、1時間くらいだと思う。

そして、ボート内の模様、米海軍や特殊部隊の登場、海賊との交渉、フィリップスの救出、と場所を移したり昼間から夜へ時間を経過させたりと見事に転がしていく。

定石通りというか、本当に素晴らしい本なんだろうなぁと想像できた。

どうやったら、こういう風にうまく物語を作ることが出来るのかなぁ・・・。

海軍が登場することで緊張感は増し、かえってフィリップス船長が精神的に追い込まれていく様子が面白かった。




今は日本でも民間船を自衛隊が警護したりしているだろうからこういう事は起こらないんだろうけど、2009年あたりはまだこういう事が起こっていたのかなぁ。

何とも納得いかないのは、一人の民間アメリカ人を守るために軍隊が登場しネイビー・シールズが参加しと、どれだけお金がかかってるんだという事(笑)

それだったら海賊が多数出没する地域を通る民間船には海軍兵を数名同行させる事が出来る、とか軍人くずれのような連中、米には民間のセキュリティ会社がいっぱいあるだろうし、を雇うとかいろいろ手はありそうなもんだけどなぁ。

船会社が経費をケチった結果なのか。

しかし、まさに自衛を強固にすれば、武装勢力を抑止できるという事だなと思った。

大砲を積んでる船に自動小銃しか持たない海賊が戦いを挑む事はないだろうに。




また、この映画のもうひとつのポイントは海賊たちの事情が描かれていること。

アラバマ号を襲うムセは海賊グループを仕切っているが、彼もボスに海賊行為を強要されているに過ぎない。

貧困と暴力、彼らはその犠牲者でもあると提示される。



結局、海賊グループの身元をしっかり把握している米海軍や海賊らを狙撃殺害するシールズの物言わぬスナイパー達が一番怖いじゃねぇかという(笑)


トム・ハンクスが好きだから観たんだけど、やっぱり好きだ。

ちょっと前まであまり俳優活動してなかったけど、何年か前からまた再開しましたよね。
今後もたくさん映画を作って欲しいな。