僕は、この週刊誌サンデー毎日は、ほとんど読まないほうだが、いま並んでいる号については、
表紙に”外務省筋から漏れてきた「竹島・尖閣」で「民主党潰し」を謀る米国の影”
というコピーが踊っていて、つい読んでみようかという気になった。
簡潔にまとめてしまえば、大国アメリカがアジアの二つの国を分断、つまり喧嘩させて漁夫の利を狙うといった構図の論点が集められているわけ。
まあ、そんなことは今に始まったことじゃないんで、
読もうという気にさせたのは「米国の影」ならぬ加藤典洋『アメリカの影』を思い出したからだった。
これもまたはしょって言ってしまえば、
「敗戦後」の日本は、ずっとアメリカの大きな影におおわれてきたわけで、
事あるたびに「だって弱虫なんだもん」、
という実は強さである弱さで乗り切ってというか、
ごまかして来たというか、そういう敗戦後の対米心理について、
加藤典洋の本は江藤淳の占領下の米軍による
言論統制(洗脳)への批判の仕事をあげつらったりしながら、追いかけた。
これは今も、なんら変わらない「敗戦後」日本の現実だと思う。
その意味で「敗戦」も「戦後」も終わってはいないのだが。
ところが、今回ばかりはアメリカさんの態度が大きく変わり始めている。
妾も、あまりに年増になると省みてもらえなくなるんでしょうねえ、
なんて話にしてしまいたいくらいに現実的だ。
一つは、共和党の大統領候補の演説の文言に日米同盟がまったく触れられず、
環太平洋国家の一つとして日本が挙げられているだけなこと。
さらに、これは毎日新聞の論説委員によるコラム「木語」で明らかにされている
アーミテージ元国務長官が、例の慰安婦問題で、韓国側の「事実認識」に同調する発言をしたこと。
いわゆる知日派と言われる米国要人までがこれだ。
なんだか、雲行きが怪しい。
「だって弱虫なんだもん」、ではすまなくなるのではないか。
ジャイアンは強いんだし、相手にしないこと喧嘩なんかしないことがジェントルマンなんだからなどと、
どうも日本人が言うのも歯にものがはさまった感じだし。
土台、英国風紳士面した日本人らしき人物はいるかも知れないが、
かろうじて拮抗できたかもしれない武士道は、
とうの昔に単細胞戦後民主主義とやらによって、軍国主義もろとも根こぎにされて久しい。
どうする?、弱虫。
弱虫の真骨頂がいよいよ、マジで問われる時節が到来するのか?
民主党が潰れようが知ったこっちゃない。
潰れるかも知れないのは、もっと大切なものだ。
文藝春秋
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