『ハーバードの「世界を動かす授業」』、複合読書シリーズ第3回です。
ブログテーマは「クラウド読書」でもいいのですが、本のテーマが経済政治社会ものなので、高橋是清日記です。
さて、あらためて「序」にもどってみました。併せ読みの相手は柄谷行人著『世界史の構造』。
最初は、ふむふむそうだよねって感じで、ほとんどひっかかりなく読んでしまっていた「序」の次の一文、
そもそもグローバル化した世界で闘っていくことは、企業も国も同じである。
その少し前にというか書き出しですが、
この危機は、金融機関だけでなく、一般の個人、企業、そして国家まで呑み込んでしまった。
とある。「この危機」というのは2008年9月15日のリーマンショックなわけですが、おそらくこの「呑み込み」は、もっと前から始まっている。それが、いまや当たり前の状態と化しているということを、「同じである」というさりげない一節が指し示しているわけです。
資本=ネーション=国家、という接合
古くは「国家総動員」。世界大戦のときの状態。言ってしまえば、戦争状態継続中ってわけです。
さておき、ひとつながりであることを示す、具体的な例を最近、あるレポートから入手しました。
こちらは、FXが「個人」投資家にも許されるようになった経緯について書かれているのですが、「世界を動かす授業」冒頭にキーワードとして出てくる「貯蓄」、これと実は、ひとつながりである点で、投資も貯蓄も同じであることがわかる。
円高・ドル安が続くなか、「ドルを買うチャンス」という広告を見たときに、ひょっとしてと思っていたところに出会ったのが、この極秘レポートでした。タイトルは、なんてことないかもしれませんが、FXのお奨めではありません。恐るべき業界再編、つまりは、政策の急展開について書かれています。
貯蓄については、ハーバードの世界を動かす授業のなかでは、日本ミラクルの成立要因として出てくる。
1954年~1971年までのことです。
前の記事タイトルに「護送船団方式」とつけたのとほぼ内容はかぶりますが、この時代日本の企業は、株式つまり直接融資ではなく、銀行からの借り入れ間接融資を中心に動いたということです。つまり、国民の貯金、貯蓄率の高さなしには、ありえなかったと。
ところが、ここからハーバード本からはずれますが、1990年代から風向きが変わった(より正確には1986年のNTT株第1次放出から)。
国を挙げて、投資を勧め始めた。その究極が個人によるFXです。
お金は銀行に預けるな、なんて能天気な本もバンバン出た。具体的な投資法マニュアルみたいな本のほかに。
この手の能天気なこと書く著者って、MBAくずれに多い。くずれというのは、MBAとってないか、とってても、たぶんヴィートー先生の授業は受けていない(笑)
まあ、そんなことはどうでもいい。
投資がブームになったのは2000年前後、オンライントレードが個人でもできる環境が整った時期です。1998年には、 FX取引解禁も行われています。
「貯蓄から投資へ」という官製キャンペーンが始まるのはもう少しあとのことですが、わたしも1999年にデイトレーダーに関する本を書きました。このころはまだ、個人でFXをやる人はいなくて、もっぱら株式投資でした。
(続く)
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