電子出版マーケティング、その過渡期戦略(2)「読む」「持つ」「使う」―本の3様態 | 編集機関EditorialEngineの和風良哲的ネタ帖:ProScriptForEditorialWorks

本、そこに雑誌や新聞を含めてもいいのだけれど、


本をめぐる気持ちには、少なくとも3つある。


「読みたい」


「持っていたい」


「使いたい」


「持っていたい」というのは、まあ「置いておきたい」でもいい。積んであっても棚に入っていても、机の上に置いてあっても。


何が言いたいのか、ずばり言っておくと、「持っていたい」「置いておきたい」という気持ちは、本のディスプレイ性、「展示」性に結びついている。


紙の本には天地があって、表紙だけでなく背表紙がある。これ、とっても重要。


展示性とはこのことで、特に目的もなく本棚に目をやって、何かがひらめくということはある。


これが本屋さんになると、もっと凄い。向こうから「目に飛び込んで来る」ということが起きる。


これはフラットなネットショップでは、期待できない。動くバナーとかも、全然成功していない。


七色7本の色鉛筆が、そろってディスプレイされていると虹のように美しい(笑)


どれか1本を選べと言われてもためらってしまう。ある1色が必要で目的買いに来たのでないかぎり。


このためらいと選択の時間に、何が起きているのか。


これを、つかんでおく必要がある。


1冊からたくさんへ、たくさんのなかから1冊へ。


この往還のなかに潜んでいるものをつかんでおく必要がある。


結論から言うなら、「たくさん」がないと「1冊」にも到達できないことがあるということ。


読書は背表紙からすでに始まっているということ。


3つ目の「使う」というのは、1冊から新しい編集が起動する、ということに近い。


新聞や雑誌なら、スクラップするのは、その編集の一つのスタートだし、


本なら、マーキングしたり、何冊も広げて重ね読みしながら、メモっていくという作業は編集以外の何者でもない。


もうこのあたりからお気づきの方もいらっしゃるかも知れないが、本を置いておく、使う、というのは「書く」こと、ライティングマシーンが起動することでもある。


「読み書きの循環論」まで射程に入れておかないと、電子出版は成長しないような気がする。


まあ、そのうちKindle for Proffesionalなんていうバージョンも登場するかもしれませんが(笑)


いや、誰にだって編集は動いている。ということは、仕事柄、って話ではないはずだ。


ともあれ、リアル、電子、両方の意味で「ディスプレイ」、重要です。



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