「放射思考」の歴史を歩く(1) | 編集機関EditorialEngineの和風良哲的ネタ帖:ProScriptForEditorialWorks
We speak sequentially because we have only one vocal track and we write sequentially because books have numberd pages, but we don't think sequentially.

Ted Nelson

これは、エンジンが二十年以上前から関心を寄せている、テッド・ネルソンという人の言葉です。


ちょっとくだけた日本語にすると、


「僕たちは、しゃべるときには、順番に(シークエンシャリー)しゃべるよね。あたりまえじゃんって言わないでね。なぜそうなるかと言うと、僕らの声が、ワントラックしか持ち合わせてないから。一人じゃステレオみたく、右左で違う別の声を出せるようにはできてないからさ。書くときも、まあ同じようなことが起きる。本は、ナンバリングされたページの順に進行するってことになってるから。


でも、僕たちが考えているときは、そんなことしてない。僕らの思考は、シークエンシャリには進んだりはしないはずだ。」


相当言葉を加えた超訳になってますが(笑)、テッドが、sequentiallyと言ってるのは、近い言葉で置き換えるとlinear(リニア)だったりします。「線形」って訳されたりします。


テッドが言ってるのは、つまるところ、人が何かを考えているときは、飛び飛び だったり、重合してたりするということです。で、彼はその思考を、そのまんま取り出せないか、定着、記録できないかと考えて、とんでないツールを開発しようとしました(未完成です)。


これは、エンジンに言わせれば「思考の自然」ということです。


テッドのツールは、完成していませんが、


80年代のマックにはバンドルされていた「ハイパー・カード」は、これをある程度実現してくれる良くできたツールでした。



編集機関のシンプルマップ的ネタ帖:ProScript for Editorial Works-ハイパーカード


エンジンはこれで、スライドとも、試作版ともつかぬものを作って、プロジェクタを使って動かしながらやるビジネス・プレゼンテーションを、よくやったものです。


ハイパーカードを発案開発したのは、初代マッキントッシュの開発者でもあるビル・アトキンソンですが、テッドとビルに共通するのは、「放射思考」です。


ノットシークエンシャリーであり、非-線形(ノン・リニア)である「思考の自然」を、どうしたら活かすことができるか。


「思考の自然」をそのまま、取り出したって、なんにもならないからです。


なぜなら、「思考の自然」の一つの代表例は、

誰もが眠っているとき見る「夢」に近いものだったりも、するからです。


人と人のコミュニケーションとか、仕事とかに「思考の自然」を活かすには、


「拘束条件」というものを、適度に導入する必要があります。


エンジンの言葉で「思考の自然」、ブザンの?「放射思考」、これにオリジナルはありません。


しいてオリジナリティを探すとすれば、それはヒトの脳と言語にある。


誰の専売特許でもない。


こういうことに気づけば、シンプルマッピングとマインドマップの優劣を比較するなんてのが、どれだけナンセンスな議論かということが、すっきりくっきり分かってきます。


どうしても、違いを取りざたしたいとすれば、


それは、思考の自然を、「どう目に見えるものにするか」


その記法、記述法の違いがあるのみ。


書き方のモードの違いと言ってもいいです。


思考の自然の記述モードには、いろいろある。いくらあってもいいじゃないですか。


そのうちの一つが、シンプルマッピングだったり、ハイパーカードだったり、テッドの未完成のツールだったり、

マインドマップだったり、曼荼羅ノートだったりする。


それだけのことです。


で、誰もが、新しい記述法にチャレンジできる。


その可能性を、はっきり示したのが、シンプルマッピングです。


次回は、 「南蛮渡来のマインドマップと、

ニッポンのシンプルマッピング」


てなお題で、この歴史の旅を続けようと思います^^