遊歩 | 小林一郎と歩く「ガード下」と「横丁」

小林一郎と歩く「ガード下」と「横丁」

「ガード下学会」「横丁・小径学会」活動の報告および、予定などをお知らせします。

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『永井荷風随筆集(上)』(岩波文庫)のなかの「日和下駄」の読み返しから、『ベンヤミン/アドルノ往復書簡(上・下)』(みすず書房)でのアドルノのディスクールの再チェック(確か書簡にあった、と記憶していた話は下巻の最後の方にありました。それは、いいんですが、そのすぐ2カ月後にはアドルノからベンヤミンへ厳しい枠組みの指示が出されていたりして、これが再発見!)、S.クラカウアーの『天国と地獄』(せりか書房)と読み進めて、ふたたびW.ベンヤミンの『パサージュ論』(岩波文庫)の読み返しへ。
ベンヤミン―荷風―野口冨士男→織田作之助と向かうはずでしたが、ベンヤミンを読んでいるとどうしてもマルクス『資本論』の価値法則が読みの中心になってしまいます。すると、小生の頭の中に大内秀明さんが登場し(つい数日前、小生の友人が仙台でお話を伺ってきたそうです)、宇野三段階論を踏襲した秀明さんを見習って、大胆にパサージュ論から価値法則を切り離そう! と決意するものの、小生と同世代のアン・フリードバーグ『ウィンドウ・ショッピング』の女性の立場からの遊歩者への言及も必要、と認識。すると、工場から都市へとその研究対象範疇を拡げたデヴィッド・ハーヴェイの『反乱する都市――資本のアーバナイゼーションと都市の再創造』も言及しなくては?
どれも新たに読むわけではないんですが、基本的に小生の書庫は自宅や事務所ではなく、足立区の中央図書館や東京都の中央図書館、それに母校の大学図書館なので、もう一度借りてまわらなきゃならない、というのがなんとも徒労のように気がしてなりません。