今日は二十四節気のひとつ、秋分の日。
昼夜の長さがほぼ同じだったのだが、起きたときはもう昼前だったし、日没の時刻には書斎にこもっていたので、まったく実感はナシ。
仏教の世界では、今日、秋分を中日(ちゅうにち)として、前後3日の一週間がお彼岸だ。
ちなみに、ヒジュラ暦(イスラム歴)の断食月=ラマダンが、今年は偶然にも今日から始まった。こちらはひと月続く。イスラム歴は太陽暦とは毎年10日程度ずれていくので、次にお彼岸の中日とラマダン初日が重なるのは、およそ37年後になる。たぶん。
ラマダン初日の今日、バグダッドでは爆破テロが起こり30人以上が亡くなっている。オイルマネーの動きにも少なからず影響が懸念されているし、同じ宗教行事でも、ニュースの扱いも内容も、のんびり歳時記として紹介される日本の仏事“お彼岸”とは対極である。
彼岸(ひがん)というのは、悟りを開いた境地に達した人たちのいるところであり、対して、煩悩や迷いに満ちたこの世のことを此岸(しがん)という。
つまり、あちら側とこちら側。
この数ヶ月、ボクは相変わらずの煩悩に苦しみ、迷い戸惑いの毎日を送っていて、ラマダンに突入しようが、彼岸の中日だろうが、その状況に大きな変化はない。此岸のど真ん中に棲息中である。
カラダが疲れていたり、ココロがしんどかったりの毎日の原因は、煩悩に惑い。分かっちゃいるけど、ジタバタ、ジタバタ。一時、卒業できたかなぁとも思ったモノだけれど、大いなる勘違いだったようだ。
感情は、損得の収支だけではコントロールできないので始末に悪い。
昨日の夜、仕事の打ち合わせがたまたま新橋駅近くであった。
酒が飲めないこともあって、ボクがほとんど足を踏み入れないエリアだ。
最近、ちょっとやそっとじゃ気の晴れないボクは、ええいままよと、ある決意をする。
サラリーマンの聖地・新橋で、花の金曜日、仕事流れでメシを食い、酒を飲む!
そんな冒険をしてみたくて、新橋飲みのエキスパートに案内を請う。
普通のオトナには普通のことだろうけど、ボクのことを知っている友人、知人が聞いたら耳を疑うほどの大それた決意なのだ。
しかしながら、初心者にはハードルが高すぎるからガード下や屋台は避けてくれ、などとエキスパートに注文を出す。下戸を引き連れて飲みに行くのだから、案内人には迷惑な話だろう。
21時を過ぎた金曜日の新橋は、サラリーマン&OLでごった返している。どの店もいっぱいで、結局、渋谷辺りにもありそうなアジア料理店へ。
が、店内に入ってビックリ。客層が違う! カウンターには、肩を寄せ合うオヤジ二人のツーショット、奥の席には、いかにも部長と部下たちといった少人数の男性のみのグループ。ほとんどテーマパークに足を踏み入れた気分で、ボクのテンションもだんだんと上がってくる。
丸テーブルを囲み、いつもは目もやらないドリンクメニューを吟味して、エキスパートのアドバイスを受けながら、軽めのアジアンビールを注文する。エスニックテイストだけど、焼き鳥系やら枝豆やら基本アイテムを取りそろえて乾杯♪
ホントは仕事の愚痴やら上司の悪口やらで盛り上がるつもりが、フツーに話をしていて楽しくなってくる。ビールの小瓶で喉を潤しながら、いつも以上に喋りまくる。
おお!? これは、いいかも…。ほとんど数年ぶりに飲むビールがかなり美味い♪
なんと2本目にも突入して、トイレに立つ足下がちょっとおぼつかない。けど、楽しい。
「フツーは、このあとカラオケ行っちゃったりするんですよ」とエキスパート。
「行っちゃう?」とボク。
毒、食らわば皿までじゃぁ~と、年季の入った酔っぱらいだらけの新橋の街を、酔っぱらい初心者のボクもカラオケ屋へ。
驚いたことにどの店も満員で、ごった返すフロントで1時間待ちを宣告されて、ふらりふらりと銀座まで足を延ばして、ようやく空いているボックスにたどり着く。
じつは、ボクはカラオケもほとんど経験がなくて、生涯三度目。システムもよく分からないので、テキパキと店員と交渉(注文?)をするエキスパートがほろ酔いの目にはオトナに見える。
躊躇いながらも歌い出すと、これがなかなか楽しくて、湘南乃風「純恋歌」や「カラス」を熱唱してきた。しかも、飲み物は、生まれて初めてのなんちゃらサワー。
いろんな意味で、快挙である。
つきあい酒や接待カラオケには興味はないけれど、気の合う仲間と共に過ごす時間の選択肢のひとつとして、こんな過ごし方も良いかもしれないといまさらながらに実感。
少なくとも昨日の夜、ボクの胃は痛くならなかった。すご~く、気持ちが楽になっている。その代わり、帰りのタクシーのなかではアタマがガンガンしてたけど…。
此岸にいる限り、此岸伝承の解決法が知恵と言うことか。生きながら煩悩から卒業したり、悟りの境地に達しようとするなんてどだい無理なのかも。突っ張ったって、見栄を張ったって、仕方がないのかもしれない、と悟る。間違ってる気もするけど…。
ラマダンで、お彼岸なのに、こんな花金。罰当たりである。
でも、かなりHAPPYな夜だった。本当に。
