ココロに余裕のあるときは無駄な時間を大切にできる。
ボクは情報から遮断されることが怖くて、パソコンやテレビ、活字が身近に活きていないと、どうにも落ち着かない。つまり、ボーッとアタマをOFFにすることが苦手なのだ。常に情報が飛び込んでこないと、ちょいと焦り始める。
特に忙しいとき、精神的に焦っているときにはこの傾向がさらに顕著になり、自らを追い込むことになる。
今年前半のマイブームは、光と影
、だったのだけれど、
とくに影を楽しむためには、情報から自由になれる時間が必要だ。
薄暗闇のなかで、活字を読まず、パソコンのモニターを切っていられる時間を楽しめるココロの余裕があるとき、初めて光と影の微妙なコントラストを楽しむことができる。
この夏、7月8日から東京オペラシティアートギャラリーで、『光の魔術師 インゴ・マウラー展』
が開催されている。
9月18日までなのだが、先日、ようやく訪ねることができた。
ずっと楽しみにしていたので、ワクワクしながら会場へ足を運んだ。
インゴ・マウラー
は照明をアートにしたデザイナーとして著名だが、彼と彼のチームの作品は、芸術というよりは工業デザインなので、カフェやレストラン、インテリアショップで目にすることも多い。
今回はギャラリーでの展示ということで、ショールームやお店とは違う見せ方をしてくれるのではないか、と少し楽しみにしていたのだけれど、その点は少し期待外れ。
マウラー作品が一堂に会しているのは嬉しいのだけれど、会場が明るかったのだ。
灯りは彼のデザインした照明だけではなく、ギャラリーのダウンライトや非常灯は点いたまま。通常展よりは薄暗いが、闇の中の光を楽しむには、明るすぎた。作品のディテールを見るにはちょうど良いかもしれないけれど、それなら他所でもチャンスはある。
自分の部屋にマウラーの照明を置く贅沢な気分を、彼の照明だけで味わってみたかった。
それでも、ウィットに富んだ照明器具をたくさん見ることができたのは、充分に楽しかった。
彼の作品のなかでも有名なのは、電球から直接鳥の羽根が生えている電気スタンド“ルーチェリーノ”のシリーズだろう。MoMAのオンラインショップ
では、83,790円で販売されている。もちろん、そんな高価なスタンドはおいそれと買えはしないのだが、かなりカワイイ。
ホンモノが欲しいなぁ、と思いつつ購入したのが“ルーチェリーノ”をモデルとした小さな小さなLEDの組み立てキット“emulation kit”
。
まったく実用的ではないけど、照明作品のミニチュアは珍しいし、組み立てる前の基盤も美しい。
部屋を暗くし、テレビとパソコンを切り、9Vの電池にセットして小さなLEDの灯りだけを見つめる。
3分間。
その薄暗い世界のなかで、ボクのアタマの中に浮かんでくるのは、やはり焦燥感。
まだまだ、マウラーの照明に大枚を払うココロの余裕はないみたい。
成長しなくちゃ、ね。
