夏の終わり。 | デジタル編集者は今日も夜更かし。

デジタル編集者は今日も夜更かし。

出版社に在籍していながら、仕事はネット、携帯などデジタル企画のプロデュース。

もし雑誌をやっていたら記事にしたかもしれない様々なネタを、ジャンルにこだわらずコラム風に書いてみる。アナログ志向のデジタル編集者は、相も変わらずジタバタと24時間営業中!

金魚


祭に踊らず、海で泳がず、花火を見上げず、浴衣を着なかった夏。
朝顔にも、ひまわりにも、真っ赤な百日紅にも気がつかなかった夏。
じっとりと汗をかき、冷えすぎた冷房に腹を立て続けた夏。
ただただ、忙しく仕事をしていた。
そんな夏が終わろうとしている。


今日、駅からの帰り道、手に持ったジャケットを途中で羽織った。
満員電車で汗をかいたシャツに、風が涼しすぎたのだ。
半月に照らされた雲は、秋の鱗雲。
やべ。夏が終わっちゃう。
昔ほどの焦燥感はないけれど、それでも、明確な思い出の作れなかった夏が終わっていくのは、ちょっとだけ寂しい。


そんな夏の小さな思い出に、季節のお菓子を撮っておいた。
夏の盛りに三冊のオススメ小説を貸してあげたら、面白かったとお礼にもらったのだ。
塩瀬総本店の季節限定創作菓子『涼菓』。
金魚鉢を模したガラスの器に青リンゴのゼリーを満たし、練り切りの赤い金魚と緑の水草、そして小石に見立てた大納言が浮かぶ。
涼しげで、かなりカワイイ。どうやら毎年、夏限定で作られる大人気商品らしいが、見た目だけではなく、ちゃんと美味しい。


夏の風物詩が思い出に昇格するためには、サイドストーリーが必要だ。
花火を見た記憶には、必ず隣にいた誰かの思い出が重なる。
浴衣を着るのは、きっと誰かのためだし、夏の海には仲間か家族か恋人が必要だ。
好きな小説の感動を友と共有できるのは、ちょっと幸せな気持ちになれる。
来年の夏、デパ地下でこの夏のお菓子を見かけたら、きっと小説について感想を話し合ったことを思い出すだろう。小さな小さな、今年の夏の思い出。


明日から、9月だ。
夏にしがみつく歳ではなくなったクセに、秋に感じる物寂しさからはいまだに卒業できないでいる。

もしかしたら、以前よりも秋がしんどいかも知れない。がんばらなくちゃ。