秋の森の奇跡/林 真理子 | デジタル編集者は今日も夜更かし。

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秋の森の奇跡


女性誌『Precious』(小学館)連載時から話題になっていたオトナの恋愛小説。
小学館の広告資料によれば、『Precious』の中心読者は、36-40歳が3割以上を占める。

既婚者が60%近く。
リアルな恋愛小説の第一人者が、この世代に向けて、マジにリアルな恋愛を書いてしまった。

逃げられない現実と、様々に設定されたタイムリミットに押しつぶされそうなこの世代。だから、つらい。甘くない。


彼女の小説に嵌まってしまっているボクでさえ、この小説を正面から受け止めるのはしんどかった。
林真理子の小説は、異性に隠している正直な気持ちがあからさまに描かれているところに魅力があると思っている。
“オンナ”の本音だけなら、ヘーとか、ホーとか、トリビアか蘊蓄のように読んだり、あるいは小説のためのレトリックとして楽しめるのだが、
オトコの本音や都合をここまで赤裸々に、的確に書かれてしまうと、これはもう、ちょいと身構えてしまう。逆に、彼女の小説のなかでオンナたちの数多の台詞や、語られるエピソードが、真実の重みを持ってくる。
おのれの過去を振り返りつつ、そこまで書くなよ、とちょいとびびる。
その調子で、加齢の恐怖や親の介護まで、人の本音と現実を組み込まれる恋愛話となると、これはもう、通り一遍のロマンスではなくなる。


たぶん、20代の男性は手にも取らないだろうから、心配はしていない。
20代の女のコがこの本を読んじゃったら、作者はどう責任を取るんだろう…。
たぶん将来に不安は抱くだろうが、たぶん現実の方が忙しいし、ドラマチックだから、まあいいか、と逃げる。
それよりやっぱり、ドンピシャターゲットの40歳の夢見る女性が読んでしまっても、ダイジョーブなんだろうか。
冬ソナの思い出なんて軽く吹っ飛んじゃうんだろうな。

Precious世代がページを開くには、それなりの覚悟が必要です。


ただ、
余計な、本当に余計な感想を言えば、しょせん恋愛なんて個人的なもの。
もともと、仕事のスケジュールや、学業や、相手の家庭や、親の介護や、政局や経済情勢や、懐具合や、そんな諸事と折り合いがつくわけがない。
そんなものを超越してしまうから、恋愛なんじゃないだろうか。
いくつかのブログで感想を読んでみたけど、終わり方に不満を持つ女性が少なからず見受けられた。ボクはこの小説には、この終わり方が最適だと思っている。恋愛は、結論を他人に委ねてはいけない。この、ある意味でとっても重たい物語では、読み手が自分で結論を出す必要があるんじゃないかな。


■秋の森の奇跡/林 真理子■