じつは、世の中の矛盾を考えるのが大好きだ。
つまり、あまのじゃく。
人が生きていく上で、絶対に出さざるを得ないゴミは、必要から生じる様々な無駄や矛盾がてんこ盛りで、ボクの大好きな“矛盾”の主要テーマ。経済、政治・行政から始まって、人のエゴ、価値観の違いまで内包する。産業廃棄物のニュースやドキュメンタリーなんて、何を差し置いても見逃せない。断っておくが、決してエコの観点からではない。人間の本質が露呈し、エゴが渦巻く、矛盾だらけのゴミ問題にはなかなか正解が見つけられなくて、楽しくて仕方がないのだ。
この季節、家々の庭先でガーデニングにいそしむ姿をよく見かける。
ボクの家でもプランターや植木鉢では球根が芽を伸ばし始め、冬枯れで寂しかった花壇に植え替えるタイミングを待っている。
また、今年は京都議定書が発効され、東京都では屋上緑化を推進している。
庭のある家庭だけではなく、マンションのベランダでも、オフィスビルの屋上でも、とにかくガーデニング、緑化は、時代の流れだし、何よりキレイな花や緑は心を癒してくれる。
そうなるとインテリアを模様替えするように、何年かごとに、エクステリアの雰囲気も変えてみたいなぁと思うのは当然のことで、便利なことにホームセンターには、ガーデニングに適した多様な土が揃っていて、花壇を作るためのブロックや煉瓦もいろいろな種類がある。
さてさて、ガーデニングとゴミ問題の関係は?
庭の模様替えをすると、当然、ゴミも出る。
枯れて抜いた植物たちは、燃えるゴミ。木の枝は、袋を突き破らないように短く切って指定の袋に入れて出せばいい。ボクの住む区では、50センチ以内にカット、枝の直径10センチ以内、束の直径30センチ以内と細かく規定されている。
では、花壇の仕切にしていた小さな石や、古くなった園芸用土はどうすればいい?
あるいは、マンションのベランダでプランターに使っていた土は、たとえば引っ越しをするときはどうする?
燃えないゴミ? それとも、燃えるゴミ?
そこで、世の中の“矛盾”が浮かび上がってくる。
じつは、ほとんどの自治体では、「自然物」である土や石はゴミとして出してはいけないことになっている。回収もしてくれないのだ。
さあ、どうしましょ。
とりあえず役所に聞いてみる。
区の清掃事務所に電話をすると、ていねいに応えてくれた。
「捨てないで再利用して下さい」
うん? もちろん、天日干しで殺菌をして再利用をしたりもするけれど、それでも余る土もある。それに、石やブロックは再利用しようがないから捨てたいんだ。
「庭に捲いていただくとか…」
それをしたくないから、正しい捨て方を聞いているのだが。じゃあ、たとえば、マンションの方が引っ越しをする場合、どうすれば?
「それはですね、まあ、近くの公園に捲くとか…」
あ、それって、不法投棄ではないんですね?
「いや、不法投棄ですが…」
困りましたね。まあ、こっそりやってやれないことはないけど、でも、お天道様に恥ずかしくない正しい捨て方をボクは聞きたいんです。とにかく、ゴミ問題を追究(追及ではない)するのが好きだから。
「それでは、残土などを処理する業者をご紹介いたしましょう」
そうですか! そういう業者がいるんですか!
と、教えてくれたのが、区指定の産業廃棄物協会加盟業者数社。
早速、電話をしてみる。
「良いですよ。どのくらいの量ですか?」
えっと、20リットル入りの袋、ホームセンターで売っているヤツで2袋くらいなんですけど。
「え?」
だから、個人の住宅で…
「あ、あのウチ、ダンプで処理するから。まあ、十万がとこいただければやらんことはないけど」
は? 区役所の方で、オタクならやっていただけると聞いたんですが。
「いやぁ、やったことないなぁ」
さらに区役所のホームページで見つけた区長宛のご意見受付メールフォームに、このことを問い合わせたら、貴重なご意見として…と、丁寧だけどあんまり参考にならない回答が帰ってきた。
つまりいろいろと、手を尽くして調べた結果、ガーデニングで出た不要な土や石を正しく捨てる方法はないのだ。
ね? 矛盾でしょ?
ホームセンターやスーパーに山積みされて売られている、鹿沼土や腐葉土や、化粧砂利って、一度買ったら一生付き合わなくてはいけないのだ。ゼッタイ捨てられないのだから。
暖かくなった週末、もし、20リットル入りの土をまとめ買いしてこよう!なんて思っている方がいたら、本当に一生面倒が見られるか、考えた方が良いかもしれない。
もうひとつゴミ問題でアドバイス。
以前、家の前の道路に鉄筋が落ちていたことがある。コンクリート建築の中に入っている鉄の棒だ。長さは、約2メートル。危ないので拾って駐車場のわきに置いた。
さて、邪魔なので捨てようと思うが、粗大ゴミの規定では1.5メートル以内となっている。
どうすればいい?
再び、清掃事務所に電話をする。
「ダメです。捨てられませんし、回収もできません」
えっと、粗大ゴミの回収料金を払っても?
「ハイ」
じゃ、どうすれば?
「業者を紹介しましょうか?」
え!それってまさか例の…。鉄筋1本でも回収してくれるんでしょうか…。
「それは、ちょっと…」
じゃあ、どうすれば良いのかな。
「困りましたねぇ。道路に落ちたままなら回収できるのですが」
うん? じゃ、いまからもう一度道路に捨てたらいいのかな?
「それは、不法投棄です」
キャ!
つまり、正解は、もし家の前に鉄筋やブロックが落ちていて危ないなぁ、と思ったら、決して家の敷地内には持ち込まないで、即、清掃事務所に電話をして、「危ないじゃないか! 早く回収せんかい!」と、苦情を言うというのが正しいのだ。
そんなこんなの結果、ゴミ問題と正対をしているボクの家の片隅には、いまも腐葉土や鹿沼土に、化粧砂利の混じった小山と、錆びた鉄筋が一本、グロテスクな姿をさらしている。
参ったな、奥多摩の山のなかにでも不法投棄しちゃうぞ~!っと。