東京タワー/江國香織 | デジタル編集者は今日も夜更かし。

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東京タワーは、単なる電波塔でも観光スポットでもない。
ボクにとっては、特別の存在だ。

47年も前に建造されたのだから、新鮮さが薄れた333mの目立つ存在は、キッチュな扱いを受けた時代もあった。
のれんや、文鎮などおよそ実用的ではないものに図案化され、東京在住者には縁のない“東京みやげ”として浅草仲見世などで晒されていたものだ。

しかし、1989年1月1日、照明設計の第一人者、石井幹子氏のデザインでライトアップを開始して、一転、ボクたちにとっては特別な存在になった。
特に冬季のオレンジ色の暖かなライトアップは、ドライブやデートの借景として欠かせない小道具となったのだ。だからボクにとって、『東京タワー』と名付けられた恋愛小説には、特別な期待が膨らむのだ。映画化をきっかけに、読んでみた。

しかし残念ながら、だれか、ボクたちのために別の『東京タワー』を書いてくれないかな…、というのがこの小説を読んだ正直な感想。小説のタイトルは、商標登録はできない。

そういえばボクは、江國香織の小説を最後まで読み切ったことが、ほとんどない。魅力的なタイトルや描かれているテーマ、舞台は、大好物を予想させるものばかりなので、思わず購入してしまう。『きらきらひかる』『落下する夕方』『すいかの匂い』『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』など数十ページから数ページを読んだだけで積まれたままになっている江國作品は多々ある。読了したのはこの『東京タワー』の他には、直木賞受賞作の『号泣する準備はできていた』と『つめたい夜に』(ともに短編集)くらいだろうか。

人気のある作家だ。ドラマ化も多数。
いくつかの評判の良い作品を試してみても読み切れないというのは、やっぱり、肌に合う、合わないということがあるのかもしれない。

一生懸命に、この作品の魅力を探す。
夢、かな。
もしかしたら、ある種の女性たちの理想なのかもしれない。
もしかしたら、ある種の若い男性たちにとっても理想なのかもしれない。
彼らの間でだけ成立する“恋の極み”(宣伝惹起)…。
“いまのボク”にとっては、まるで羨ましくない関係性。だから、分からないのかもしれない。

とにかく、主人公の男のコと“いまのボク”は、友だちになれない。彼らを好きになれない。女性たちよ、若くて、ある部分でイノセントで、でも、無気力で覇気がない、こんな人形みたいに、活かされている少年たちを好きになってどうする。それじゃぁ、女子高生好きのオヤジと同じじゃないか…。せめて、男のコのリスペクトできる部分に女性たちが惚れてくれていれば、と思う。

オススメの本だけを紹介しようと思ったのに、『東京タワー』だったから…。
江國ファンの皆さま、ごめんなさい。もう、手を出しません。

東京タワー/江國香織
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4838713177/ideabowl-22/

*blogや映画評を見ていると、あまり江國的ではない寺島しのぶさんの評判が良いですね。
*夜景と本の組み合わせを携帯で撮影するのは、難しい…。自動販売機の灯りを背に撮ってみました。この撮影場所からみるタワーはとっても素敵です。そばを通りかかったパトカーが怪しげに徐行したけど。