幸福な食卓/瀬尾 まいこ | デジタル編集者は今日も夜更かし。

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出版社に在籍していながら、仕事はネット、携帯などデジタル企画のプロデュース。

もし雑誌をやっていたら記事にしたかもしれない様々なネタを、ジャンルにこだわらずコラム風に書いてみる。アナログ志向のデジタル編集者は、相も変わらずジタバタと24時間営業中!


家族四人の幸せを象徴する“食卓”。
すでにその食卓には家出中の母が欠けているのだが、次に“父さん”が“父さんであることを辞める”と宣言するところから物語は始まる。
主人公の女のコが中学から高校時代まで、家庭と学校と恋が4編の連作でつづられていく。
誰かが欠けたり、兄の彼女が加わったり、彼氏ができたり、そして…。

核となる話の流れは、『さくら』 とよく似ている。
小説としてのテイストはまったく違うのに、2冊を読み終わって思い返そうとすると、なぜだかディテールの記憶が混ざり合っていて、どちらのエピソードだったのか、もう一度本を開いて確かめてみたりする。

基本的に、いい人、優しい人たちが織りなすおとぎ話の世界だ。
そして、悲しくも優しいハッピーエンド。
まあ、この小説でも、ボクは泣いた。『さくら』の担当編集者は、帯で「小説を読んで初めて泣いた」と告白していたが、ボクなんて、最近、何を読んでも泣いてしまう…。


『さくら』や、この『幸福な食卓』を読んで、家族や、愛や、他人との関係を考え始めた人には、村上龍の『最後の家族』 をぜひ一度、手にとって欲しい。
家族のリアリティが凄い。現実から逃げていない。
そして、家族が抱える様々な問題に対して、最終的に明確な結論を出しているのは、村上龍のこの小説だけだったような気がする。
“家族”の小説を続けて読んで、ずいぶん前に読んだ『最後の家族』をもう一度、読み直したくなった。


■幸福な食卓/瀬尾 まいこ■