edhogedhogのブログ -19ページ目

edhogedhogのブログ

ブログの説明を入力します。


 と、娘は月の光の中で、大胆に艶つやめいた笑い方をしたが、
「決して風流ではござりませぬ。さりとて悪戯いたずらでもござりませぬ。ただ書きたくなりましたので、楽書きをいたしましてござります」
 こういって依然として大胆に、艶めいた笑い方を公卿へ見せた。
 しかしどうやら公卿のほうでは、それを諾うべなおうとはしないようであった。
「麿まろにはそのようには思われぬよ。何らか深い思惑があって、楽書きをしたものと思われるよ。麿に遠慮をすることはない。そちの思惑を話すがよい」こういって娘の顔をのぞいた。
 しかし娘は同じように、大胆な艶めいた笑い方を、顔一杯に漂わせるばかりで、答えようとはしなかった。
 と、そういう娘のようすが、公卿にはいよいよ審いぶかしくも、疑わしくも思われたらしい、胸と胸とが合わさるばかりに、近々と娘へ近づいたが、
「そも、そちの名は何というぞ?」
「はい、粂くめと申します」
「で、年は幾歳いくつであるか?」
「はい、十九にござります」
「ここの長屋をいずこと思うぞ?」
「所司代様のご番士方の、組お長屋と存じます」
「それと知っていて楽書きをしたか?」
「はいはい、さようにござります」
「恐ろしいとは思わずにな?」
「なんの恐ろしいことがござりましょう。この妾わたしにとりまして、恐ろしくも尊くも思われますお方は、