edhogedhogのブログ

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     一五 馬車

 僕が小学校へはいらぬ前、小さい馬車を驢馬ろばに牽ひかせ、そのまた馬車に子供を乗せて、町内をまわる爺じいさんがあった。僕はこの小さい馬車に乗って、お竹倉や何かを通りたかった。しかし僕の守もりをした「つうや」はなぜかそれを許さなかった。あるいは僕だけ馬車へ乗せるのを危険にでも思ったためかもしれない。けれども青い幌ほろを張った、玩具おもちゃよりもわずかに大きい馬車が小刻みにことこと歩いているのは幼目にもハイカラに見えたものである。

     一六 水屋

 そのころはまた本所ほんじょも英会話 恋愛井戸の水を使っていた。が、特に飲用水だけは水屋の水を使っていた。僕はいまだに目に見えるように、顔の赤い水屋の爺じいさんが水桶みずおけの水を水甕みずがめの中へぶちまける姿を覚えている。そう言えばこの「水屋さん」も夢現ゆめうつつの境に現われてくる幽霊の中の一人だった。

     一七 幼稚園

 僕は幼稚園へ通いだした。幼稚園は名高い回向院えこういんの隣の江東小学校の附属である。この幼稚園の庭の隅すみには大きい銀杏いちょうが一本あった。僕はいつもその落葉を拾い、本の中に挾はさんだのを覚えている。それからまたある円顔まるがおの女生徒が好きになったのも覚えている。ただいかにも不思議なのは今になって考えてみると、なぜ彼女を好きになったか、僕自身にもはっきりしない。しかしその人の顔や名前はいまだに記憶に残っている。僕はつい去年の秋、幼稚園時代の友だちに遇