私の経営改革手法 | 【閉鎖】小規模企業経営のヒント~実体験&クライアント事例から発信します~

【閉鎖】小規模企業経営のヒント~実体験&クライアント事例から発信します~

株式会社エッジコネクション 代表取締役社長大村康雄のブログでしたが、現在は当社HPコラムコーナーにて執筆中

誕生日に書いたブログを読んでいただいた方々の中から、こんな声を頂きました。

「大変な時期があったのはわかったし、色々と精神面の気付きは参考になった。でも、もっとテクニカルな面で共有できることはないの?そこが商売道具なのかもしれないけど。」

いえいえ、そんなみみっちい事はしません。

ということで、今回はよりテクニカルな部分で私が行ったことを紹介したいと思います。

会社、部署などチームのパフォーマンスが良くない方は参考にしていただけるかと思います。



まず、結論から言いますと、時間を最大限に有効活用するの一言に尽きます。

企業体力によって、お金やマンパワーなど投下できる経営リソースは限られます。

よって、そこを経営改善のキーポイントに置いてしまうと、創造性に限界が来てしまいます。



誰にとっても平等で有限なもの。

それが時間です。

この時間の使い方に着目すれば、企業体力などによって差がつかず創造性が尽きない限り、いくらでも改善が可能になります。



では、最大限に有効活用するとはどういうことなのか。

それは、全社員が考える時間を限りなくゼロに近づけ、全社員が行動している時間を極限まで最大化するということです。

はっきり言いますが、考えている時間の経済的価値はゼロです。

考えた結果をお客様や上司、同僚にぶつけ、相手からポジティブな反応が返ってきて初めて経済的価値が生まれます。

つまり、考えているだけの状態はまったく価値がないのです。

この、社員が考えている状態(もしくは自分も)を徹底的に見つけ、それをつぶしていけば必ず組織の生産性は上がっていきます。




ただ、この社員が考えている状態はいくつか典型的なパターンがあります。

いくつかそれを紹介します。



■追いかけるべき目標が不明確

例えば、通勤・通学で迷う人はいません。

どの道をどう通るべきかを瞬時に判断して目的地まで辿りつけます。

なぜそれが出来るのかと言えば、目指すべきところが明確だからです。

「可能な限りたくさん売り上げを作る。」

「今月1000万円の売り上げを上げる。」

どちらが明確に計画を立てられ、実行できるかというと、後者です。

期限と定量的な指標がなければ目標とはいえません。



■レポートラインが不明確

業務上の指示はAさんに仰ぐが、人事評価はBさんがする。

こんなことが発生していると、メンバーは誰の意見を聞くのが適切かわからなくなります。

わからなくなるということは、「今はどっちを見るべきか」と都度都度考えてしまうということです。

考える作業を排除することが大事なわけですから、この事態も排除せねばなりません。



■部署間の担当業務が不明確

「基本的にはA部にこの仕事は振らないといけないが、A部が忙しい場合はこちらでやらねばならない。」

こんなことが発生してないでしょうか?

こんなことが発生すると、「A部は今忙しいかな?」ですとか、「A部に行ったんでしょ?どんな感じだった?」といった考えたり相談したりが発生します。

それぞれの部署の担当業務をバシッと決め、忙しいなどの問題はそれぞれの部署内で何とかまとめるのが基本です。



■自分でやっていいことが不明確

見積もりを自分で作ってもいいのか

お客様へのメールを確認なしで送ってもいいのか

などなど、自分でどこまでやっていいのか迷ってしまうと、そこに考える時間が生まれてしまいます。

何か確認依頼を受け、このメンバーはもう大丈夫だと思ったら、「もうこの件については一人でやって良いよ。」と伝え、すぐに突き放すこと。

また、OKを出した業務で相談に来た場合、特に改めて相談しなければいけない理由がなければ相談したことを叱ること(自分が出来ることを上司の力を余計に借りようとするのは大人なのに親に歯磨きしてもらうのと同じです)。

これを続け、自分で出来ることは余計な相談や考えをさせずに、スピーディーな対応を徹底させます。

それがメンバーの成長にもつながります。



■法治ではなく人治になっている(ルール化が甘い)

ここまで書いてきたことが基本ですが、そうも言ってられない時があります。

例えば、部署間の連携において、隣の部署がどうしても忙しく、採用が追いつかない。

そんなとき、今日は忙しそうだから手伝ってあげて、次の日はやってあげなくて良いなんて指示がころころ変わっては今日はどうなんだろう?と考える時間が発生します。

月曜と水曜は手伝う。

10件までは隣の部署にパスし、11件目からはこちらで担当する。

など、イレギュラーな状況には個別ルールで対応し、同様の事案が発生しても考える必要がないようにします。

リーダーとは個別の采配で力を発揮するのが仕事ではありません。

リーダーとはルールを決める最終かつ最強権限がある人であり、あくまで業務は人ではなくルールで動くようにするのが基本です。



■労働時間で解決している

これまでのことで何かしらの不具合が発生していると、考える時間が発生し業務効率が下がりますから労働時間も長くなりがちです。

それを長時間労働でカバーしてしまえば、上記のような施策に目が向かなくなります。

むやみに労働時間を長くすることを許さず、中身の改善で解決する。

その癖をつけることが大切です。



■任せている業務がオーバースペック

これまでのことが出来ているのに、考えている社員がいる。

その場合は、単純にその仕事がその社員の対応できるスキルを超えている可能性があります。

挑戦の意味合いで任せていることもあるかもしれませんが、基本的に人が成長するときは難しい仕事でもやってやるぞ!というマインドでやっているときです。

うんうん唸りながらやっている仕事は、そのスタッフがつぶれてしまったり、お客様に迷惑がかかることもありえますので、その辺りの見極めが重要です。



■リーダー自身がルールを破る

これが最後です。

ここまで紹介してきたことをリーダー自身が部下に指示をしておきながら、自分はやらない。

例えば・・・

せっかく立てた目標を、やっぱり今月はこれくらいやってとコロッと変えてしまう。

中間管理職を飛び越えて指示をする。

A部がやる仕事なのに、B部に対し「急ぎだからそっちでお願い。」と依頼する。

諸々のルールを自分だけ守らない。

長時間、休日労働当たり前で、そこでカバーするので業務上の非効率に無頓着。

などなど

結局、下は上をつぶさに見ています。

どれだけいろんな施策が打たれても、リーダーがそれを実践していないと、「さて、この施策は今度は続くだろうか、それともまた自然消滅するだろうか」と、また部下は考えてしまいます。

そして、実際に自分は実行していないわけですから、自分がやっていないルールを正確に記憶できる人はなかなかいません。

リーダーが施策、ルールを忘れますから、ルール違反が取り締まれず徹底されない。

そうして、また部下の考える時間が増えていくのです。



以上が、時間を最大限に有効活用するのを妨げている主なポイントです。

元々、当社はこういうことに神経質な会社でしたのでゼロから取り組むよりはスムーズでした。

ですが、やはり徹底すると効果は出るもので、先月2015年10月期は一人当たりの粗利が過去最高を記録しました。

このままどんどん効率性を上げていければと思います。

そして、これを読んでいるうちのメンバー。

これが私の求めるリーダーの仕事ですので、熟読かつマスターしてください。