「ホワイト餃子」。
名前くらいは聞いたことがあるがどのような餃子なのであろうか。
つーか、餃子って基本白くね?などと思いながら下町のアル中達と僕達は入店したんだ。
着席すると餃子柱は「どれにしますか?」と尋ねられた。
しかし、わたくしはホワイト餃子なるものは完全に未知の領域なので「どれにしますか?」と呆けた顔をして鸚鵡返しをした。
「やっぱ16個だね、いや24にするか。24を2人前、あと、もやしナムルとキムチとビール2つ。」手慣れた様子で柱は注文なされた。
「少し時間かかりますが、良いですか?」外国籍の年配の女性店員が言うと「いいよ。」と柱はお答えになられた。
他愛もない昔話、実はザ・サンセット ラプソディーというバンドは結成から17年経っているので結成当初の話は全て昔話になってしまうのだが、そんな昔話に花を咲かせていると丸い餃子が目一杯搭載された皿が運ばれて来た。
別に極度に白くはねぇな、などと思い、食してみたところ、まぁ、普通かな、と思い、率直に柱に伝えると「そうぉ。」と柱はお答えになられた。
その目は「だから貴様は駄目なのだ。」と仰っているようにも見えた。
しかし、5個、6個と食っていたら美味く感じて来たので「これ、5、6個目位からキますね。」と言うと、「へ?来ますって何?」と柱は困惑しておられた。
さらに目一杯餃子の搭載された皿がわたくしたちの卓に追加で運ばれた来た。
わたくしたちの視界はホワイト餃子で埋め尽くされた。
そして、延々とサンセッツ昔話をしながら、わたくしはひたすら餃子を食べ、柱はひっきりなしにウーロンハイを飲み干しては注文するというループに入った。
そのうち柱がウーロンハイを注文すると店員が返事をするまで奇妙な間が空くようになった。
その表情は明らかに我々に対する不快感に満ちていた。
過去にも見たことのある表情だ。
ファミリーリストランテ等において我等がアカシア無双がひっきりなしにアルコール飲料を注文すると、「ウチは飲み屋じゃねーんだよ。」という表情をして不愉快だという態度を取る輩がたびたび居たものだが、それだね。
だが、そんなのは無視だぜ。
気付けば一緒に入店した下町のアル中は早々に退店し、店内の客は我々二人だけであった。
二人の店員のうちの年配の男性店員は眉間に皺を寄せてチラチラと我々の様子を窺っていた。
そのような張り詰めた空気の中おかまいなしに柱はウーロンハイを注文し続けていた。
そのうち、私は異変に気付いた。
何故、この餃子どもは減らないのだろうと。
わたくしはアルコールが入るとあまり食えなくなるタイプではあるのだが、餃子が到着してからひたすらに食い続けている。
確かに量的には我が胃袋に収まらないというほどではないが、どうやらこの餃子は油で揚げられている仕様のようでわたくしの額は既に胡麻油になっていた。
さらには熱々だった餃子が今では冷え切っており、すっかり味も落ちている。
つまり、もう食いたくない。
かような状況であるにも関わらず、我々の卓の上には目一杯餃子の搭載された皿が三皿来たのだが、まだ一皿半ほど残っているのである。
つまり、この中にあまり餃子を食っていない人狼がいます。
じっちゃんの名にかけて。
人狼がまたウーロンハイを注文し、また不自然な間が空き、眉間に皺を寄せながら店員が酒を運んで来た。
これで大量の餃子を残すようなことがあるとしたならば、そうなったならば、まあ、我々はまあ、ギルティだよね。
公正な視点で見てもね。
わたくしは胡麻油の額で餃子を詰め込み続けた。
さらにウーロンハイが注文された時、店員が半ギレで「八時までなんですけど。」と言った。
お館様は「ああ、大丈夫。」と仰られた。
制限時間付きで餃子が残り八個ほどになった時にわたくしは限界を迎え、「俺、もう食えないですけど大丈夫ですか?」と恐る恐る尋ねた。
「ああ大丈夫、あと2個食ってよ。」と我が師は仰られた。
「俺もう30個以上食ってると思うんでマジで2個しか食えませんよ。」と弱音を吐いてわたくしはようやく2個の餃子を詰め込んだ。
宣言通り柱は残りの餃子をスムーズに召し上がられた。
完食するとちょうど八時であった。
全て柱の計算のうちだったのかもしれぬ。
修行所を後にして話をしているうちに私は店員が男性と女性の二人だと思っていたのだけれど、餃子柱は二人とも女性だと仰られた。
そんなことある?
確かにおじさんのような年配女性が世の中に存在するのも事実ではあるが。
友よその答えは風に吹かれている。
真夏の夜の生暖かい風にな。
チャオ。