ニノミヤストーリー 第1部 大戦 1
「第2魔法小隊、出撃します!!」
その朝は、いつもより早かった。
自分が決めた作戦とはいえ、眠気を隠せない王子 デンカン5世。
「フアーア…」
ノンキに欠伸までしている。
「王子!!王子!!」
伝令の叫びを聞きながら、王子は考え事をしていた。
昨日、父から直接、第1魔法連隊の軍師に任命され、わずか1時間の会議で決定となった作戦。果たしてうまくいくのか。不安や疑問を抱え、昨日の夜は眠れなかった。
「王子!!王子!!」
その声で、王子は我にかえった。直後、伝令が部屋に飛び込んできた。息があがっている。かなり急いだらしい。
「ゴメン。考え事をしていたから。どうしたんだ?おい、水を持て。」
別の兵に命令を下す。伝令は一息で飲み干し、やがてこういった。
「ハニグチ連邦と名乗る団体が…全世界に宣戦布告、直後外見国を占領しまし
た!!」
「何だと!?」
デンカンの目が変わる。厳しい眼差しだ。
「ハニグチ連邦は加古国南に現れ、刀剣類、並びに手榴弾などを装備しています。装備の質は我が軍に劣るものの、彼らの島は険しい山脈地帯、我が軍の装備では太刀打ちできません。」
「それで、父上は?」
「陛下はまだ、当分様子見でいいだろうと仰っています。また、これは未確認の情報ですが、彼らはニノミヤ国人であるとの情報も入っています。」
「分かった。ありがとう。」
「ハッ。失礼します。」
昨日までなかった国(連邦)が突如現れ、すぐに国を占領すると言うのは、普通ではありえないことである。外見国は小さい国とはいえ、仮にも国だ。ということは、敵は恐らく、事前に裏で準備を進めていたのであろう。王子は、そう考えた。
「さてと」
王子は台所へ行くと、保冷庫を開けて大きなエクレアを取り出した。実は王子はエクレアが大好物で、学校(王子でもフツーに学校に行かされる)のホーム中にも食べて頻繁に親(国王)が呼び出されるほど、問題児扱いされていた。
(モグモグ)
「とりあえず」
(パクパク)
「この作戦を」
(モグモグ)
「完了させて」
(パクパク)
「帰りたいな。」
あっという間に食べてしまった。その間、何と7秒。喋りながらなのだから、相当
凄い。
「まだないかな…あ。」
彼は見てしまった。それを。それは、兵士達が王子から隠していたのだが…見てしまったのだ。それを。そして、それとは…超巨大。なエクレア、いや、大き過ぎてもうそれが何なのか分からないほど巨大なエクレア。そう、エクレアである。
「いっただっきま~す。」
もうこうなったら誰にも止められない。食べる。食う。ひたすら食う。食べて、食べて、5分後。
「ゲフッ。」
王子が5分かけても食べきれないエクレアである。ちょっと大きすぎた。それは、彼の身長の軽く5倍はあった。だが、彼は半分も食べていた。一体どこに入ったのだろう。そして…
「ゲロゲロゲー!!」
そして、彼は吐いた。部屋に広がる異臭、いや汚臭。一応、ここは台所である。汚い。
しかし、都合よく誰もいなかった。そして…作戦決行である。