Umaren's Story -7ページ目

ニノミヤストーリー 第1部 大戦 1

「第2魔法小隊、出撃します!!」

  その朝は、いつもより早かった。

自分が決めた作戦とはいえ、眠気を隠せない王子  デンカン5世。

「フアーア…」

 ノンキに欠伸までしている。

「王子!!王子!!」

 伝令の叫びを聞きながら、王子は考え事をしていた。

  昨日、父から直接、第1魔法連隊の軍師に任命され、わずか1時間の会議で決定となった作戦。果たしてうまくいくのか。不安や疑問を抱え、昨日の夜は眠れなかった。

「王子!!王子!!」

 その声で、王子は我にかえった。直後、伝令が部屋に飛び込んできた。息があがっている。かなり急いだらしい。

「ゴメン。考え事をしていたから。どうしたんだ?おい、水を持て。」

 別の兵に命令を下す。伝令は一息で飲み干し、やがてこういった。

「ハニグチ連邦と名乗る団体が…全世界に宣戦布告、直後外見国を占領しまし

た!!」

「何だと!?」

 デンカンの目が変わる。厳しい眼差しだ。

「ハニグチ連邦は加古国南に現れ、刀剣類、並びに手榴弾などを装備しています。装備の質は我が軍に劣るものの、彼らの島は険しい山脈地帯、我が軍の装備では太刀打ちできません。」

「それで、父上は?」

「陛下はまだ、当分様子見でいいだろうと仰っています。また、これは未確認の情報ですが、彼らはニノミヤ国人であるとの情報も入っています。」

「分かった。ありがとう。」

「ハッ。失礼します。」

  昨日までなかった国(連邦)が突如現れ、すぐに国を占領すると言うのは、普通ではありえないことである。外見国は小さい国とはいえ、仮にも国だ。ということは、敵は恐らく、事前に裏で準備を進めていたのであろう。王子は、そう考えた。

「さてと」

王子は台所へ行くと、保冷庫を開けて大きなエクレアを取り出した。実は王子はエクレアが大好物で、学校(王子でもフツーに学校に行かされる)のホーム中にも食べて頻繁に親(国王)が呼び出されるほど、問題児扱いされていた。

(モグモグ)

「とりあえず」

 (パクパク)

「この作戦を」

 (モグモグ)

「完了させて」

 (パクパク)

「帰りたいな。」

 あっという間に食べてしまった。その間、何と7秒。喋りながらなのだから、相当

凄い。

「まだないかな…あ。」

  彼は見てしまった。それを。それは、兵士達が王子から隠していたのだが…見てしまったのだ。それを。そして、それとは…超巨大。なエクレア、いや、大き過ぎてもうそれが何なのか分からないほど巨大なエクレア。そう、エクレアである。

「いっただっきま~す。」

 もうこうなったら誰にも止められない。食べる。食う。ひたすら食う。食べて、食べて、5分後。

「ゲフッ。」

  王子が5分かけても食べきれないエクレアである。ちょっと大きすぎた。それは、彼の身長の軽く5倍はあった。だが、彼は半分も食べていた。一体どこに入ったのだろう。そして…

「ゲロゲロゲー!!」

 そして、彼は吐いた。部屋に広がる異臭、いや汚臭。一応、ここは台所である。汚い。

 しかし、都合よく誰もいなかった。そして…作戦決行である。




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