それは突然のことだった。
どのくらい突然かと言えば、ふと振り返ったら目と鼻の先に10tトラックのバンパーがあった。
そのくらいに突然だった。
まぁ、何があったのかと言われれば、市街地を一人でパトロールしていたら、突然市街地上空に謎の飛行物体が出現して、巨大な生物を投下し始めただけのことなのだが。
どうやらTV局が来ているらしく、これはSFXなどではないと言っているが…。
それは言われなくてもわかっている。なんせ、こっちは鮮度100%リアルタイムで「生」を見ているのだ。
これでSFXと言うオチなら、集団幻覚と言うオチで、この物語は幕を閉じることになる。
ともかく、ここで自己紹介をしておこう。
僕の名は陸 宣平(りく せんぺい)。少しばかり、変わった名前の気もするが…両親が付けて、住民票にも登録されている以上、いまさらどうこうすることはできない。
所属は、EDF極東支部所属の陸戦兵。年齢は22才。性別は男。つい最近、訓練過程を終了して、現場に配属されたばかりの新米だ。
今日は初任務で市街地のパトロール中だったのが、どうやら…なんかとんでもない事態になっているようだ。
さて、どうしたらいいのだろうか。
そう思っていると、タイミングよく狙ったようにEDFの本部から連絡が入った。
内容は「巨大生物の出現で、街はパニックになっており、各隊員は個人の判断で巨大生物を攻撃。市民の避難を助けろ」とのことだった。
――攻撃する。それは、つまり戦闘をするということだ。相手は謎の――いや、どう見ても黒蟻なのだが――巨大生物。
これは訓練とは違う。文字通り生死を賭けた実戦…。そして、市民の命を守るための戦いだ。
おーけー。やってやろうじゃないか。
持ってきた装備をチェックする。アサルトライフルと、ゴリアスと呼ばれるロケットランチャーの二つだ。
……なんで初っ端からゴリアス(ロケットランチャー)? と言うか元はパトロールにゴリアスなんぞ持って来て、どうするつもりだったのだろう。まぁ、結果的に必要にはなってるからいいとしても―――謎だ。
さしあたって、悩んでも仕方ないので正面めがけて撃ってみた。
着弾。爆発。そして爆風によって空を舞う巨大生物。
爆音と巨大生物の断末魔に混じって、人の悲鳴が聞こえたのは、気のせいということにしておく。
―――いかん。なんか楽しい。
レーダーを眺めつつ、敵が密集している所に遠慮なくロケット弾を撃ち込む。
―――やっぱり何か楽しい。ちょっとした快感になりそうだ。
そのまま、さらに撃ちまくろうとして――自分の良心(?)が叫んだ。
(やめるんだ陸!! そっちに目覚めたら、取り返しのつかいないことになるぞ!!)
確かに、そのとおりだ。何か変なのに目覚めてしまうと、それこそタイムパラドックスが起きてしまいそうな気がする。そうなれば、その先に待ち受ける運命は、破綻と言う名の未来の崩壊だ。それだけは避けなければならないと無意識にうちに理性が働く。
大きく深呼吸して、気分を落ち着かせる。自分のキャラは、「真面目で冷静」がデフォルトなのだ。
ちょこっと「天然」も混じってはいるが、間違っても暴走とか暴走とか――そう言うのとは無縁でなくてはならない。
――よし、ブレーキング成功。
さしあたって巨大生物との初戦は、さほど苦労する事もなく乗り切ることが出来た。原因の一つには恐らく――敵の注意が僕の方に向いていなかった…と言うのもあるだろう。もっぱら、なぜか市民とかの方に注意が向いていたような気もするし。
「こちら陸。巨大生物の撃退に成功した」
「本部了解。一度帰還してください」
とりあえず片付いた事を報告し、一旦基地に戻る事に。
だが、この時はまだ――考えもしていなかった。この始まりが、後の人生を大きく変える事になろうとは…。
~つづく~
☆えむ’sコメント☆
おまたせしました。ついに防衛記録ZERO開始です!!
そして、久々にEDF1を起動しました。――やっぱり、何とも言えない味のあるゲームですな。改めて実感。
さて、今回は話と話の間へのリンクなどは設けない予定です。――前回はリンク張りしましたけど、かなり面倒でして作業がorz
さしあたって、目次はそのうち作りますけどね?(苦笑
というわけで、これからしばらく・・・またよろしくです~☆