作戦No.35『日本司令部攻防戦(後編)』 | 地球防衛軍第7支部(凍結中)

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~前回のあらすじ~
 これまで溜め込んでいたと思われるダロガによる衛星軌道上から降下強襲を受けたEDF日本司令部。イヅキ小隊や、その他の陸戦隊員達の奮闘もあり、なんとか迎撃に成功したものの、突如空間転移によってマザーシップが出現。しかもジェノサイド砲が今まさに発射されようとしていた。


―2026年3月15日 13:01―
―東京 EDF日本司令部―

「みんな離れろ!! ジェノサイド砲が来るぞっ!?」
 慌てた様子で通信機に向かって叫ぶイヅキ隊員。しかし、位置が位置なだけに今から大慌てで緊急回避を連発しても間に会うかどうは、非常に微妙な所だ。某陸戦兵の使った絶対回避という手もあるが、ディロイとの戦闘直後であるため、やったら逆に戦闘不能確定になりかねないため、それをやる事もできない。
 少しでも生き残れる希望に賭けて、すぐさまそこから移動する各部隊達。――大勢の陸戦兵が一斉に連続緊急回避する光景は、なんともいえない壮観さがあるものの、彼らにとっては命がけだ。
 だが、それでもジェノサイド砲の先端に集束するエネルギーは高まっていく。そして今まさに撃ちだされようとした時――――
 細い照射レーザーが一本伸び、そのまま横一文字に走った。
 まさにガン○スターのバス○ービーム。ファ○ナルファ○タジーⅥの召喚魔法アレキ○ンダー。はたまた風のまるのナウ○カに出てきた2~3発撃ったら溶けて壊れた変な奴の如く。
 あまりにも一瞬の事だったため、何が起こったのかは誰もわからなかったほどだ。しかし、その直後にジェノサイド砲が全て火を吹き、一斉に破壊されたのを見て、すぐさま歓声がそこに轟いた。
 当然、イヅキ隊員もその一部始終を見ており、そのレーザーが飛んできた方へと振り返ってみると、基地の屋上に見慣れた二人の姿があった。
 イーグリット隊員とグレイ隊員の二人である。イーグリット隊員は非常に満足そうな表情をしており、その横でグレイ隊員はペイルウイングのLRSLシリーズによく似たライフルを持っていた。
「やはり、こんなこともあろうと密かに作って置いた甲斐があったというものだ」
「……隊長の勘ってすげぇよ」
 通信機から二人の声が届く。
「アレック、今のは……?」
 見た所ではペイルウイングの狙撃レーザーそのものだった。だが威力が違う。MONSTERシリーズなら一瞬で落とせるかもしれないが、それらはエネルギー消費が尋常でないため、1秒も続かないのが難点。でも今のは5秒近く照射を続けていた。
 イヅキ隊員が尋ねてみると、イーグリット隊員は自信たっぷりにこう答えた。
「あれは私が独自に開発した新型狙撃兵器。名称はMONSTER-F。威力はMONSTER-Sを維持しつつ、理論上は120秒近い照射が可能な代物だ」
「は……?」
 MONSTER-Sの威力で120秒間照射可能。ハッキリ言って化物である。
「しかも独立したエネルギーユニットにより、陸戦兵でも使用可能なのだ」
 すごい。すごすぎる。その気になれば、ここまですごい物を作り上げられるとは!!素直に感心するイヅキ隊員だったが、現実はそう甘くはなかった。
「ただし、そのエネルギーユニットが重すぎて移動が全く出来ないのが難点でな。開発部から持ち出すことが出来んのだ。なんとか研究所内の延長ケーブルをかき集めて、ここまでは届かせる事が出来たが」
「………………」
 ここでイーグリット隊員の評価が、ちょっとだけ下がったのは言うまでもない。
「と、とりあえず助かった。ありがとう」
 まぁ、細かい突っ込みはさておいて。その新兵器によってジェノサイド砲を阻止出来たのは大きかった。ジェノサイド砲さえなければ、マザーシップはさしたる脅威でもない。なんせ、すでに弱点もわかっているのだ。
 その後、司令官からの指示により、動ける隊員の半分は負傷したEDF隊員の救助にまわり、イヅキ小隊(エリス隊員除く)と戦闘可能な隊員の半分でマザーシップを攻撃する事になった。
 時折、スペースリングによるビーム攻撃はあったが、ほぼ真下にいるので問題はなく、またなぜかUFOファイターの発進がなかったため、態勢はすぐに立て直すことが出来た。
 あとは、ハッチが開くのを待って攻撃をするだけである。
 持ち場につき機会を伺うEDF。だが、ここでマザーシップはさらに予想外の行動に出た。
「……!!スペースリングが…?!」
「馬鹿な!!誰が攻撃した……!!」
「いえ、違います!!マザーシップが勝手にスペースリングを…!!」
 ここぞとばかりに状況を解説するオペレーターと司令官。そう言えば、この二人。この作品では、一度も出番がなかったような気がする。まぁ、いいか。
 ともかく、マザーシップ自らがスペースリングを破棄するという事態に、再びEDFは騒然となった。だが、スペースリングがなくなると言う事は、もう一つある事を意味する。
 発狂モード開始だ。
「や、やばいっ?!隠れろっ!!」
 誰が叫んだか定かではないが、鶴の一声の如く。誰もが物陰へと飛び込む。同時に無数のビームが大量にばらまかれ――――はしなかった。かわりにばら撒かれたのはディロイが使用するのと同じプラズマ弾だったのだ。
 再び状況は悪化した。だが、それでも誰も諦めてはいなかった。
 建物に隠れるという行為は無意味だが、ディロイと同じプラズマ弾ならば着弾までのタイムラグはある。注意すれば被弾は最小限に押さえることも難しくはない。
 それに前大戦の時みたいに、一人か二人ならともかく。ここには何人もの陸戦兵がいるのだ。全員が一斉に攻撃すれば、ダメージが増える前に倒すことは難しくはない。まして、MONSTER-Fもあるんだし。
 ただ、いずれも弱点のハッチが開かなければ意味はない。そんなわけで、イヅキ小隊を含むEDFの面々は、チャンスが訪れるのをただただ待ち続けた。
「…………………」
 そして1分が経過した。
「…………………」
 さらに3分が経過した。
「…………………」
 そんでもって(以下略)
「おかしい……」
 やがて誰もがそんな事を思い始める。行動パターンからしてハッチが開かないはずはないのだ。だが15分待っても開く様子がない。
 何かがおかしい。そう考えかけて、イヅキ隊員はふと気がついた。
 空間転移。発進しないUFOファイター。そしてスペースリングを自ら放棄しての発狂モード起動。しかも以前とは異なる発狂モードの攻撃。
 よくよく考えてみれば、マザーシップとは行動パターンが大きく異なっている。
「まさか―――――」
 ふとある事に思いついて、イヅキ隊員は空を見上げた。ほぼ真下からだったので気がつかなかったが、よくよく見ると――――紫色の部分が赤い気がする。
 ―――赤。それはこの世界では大きな意味がある。
 赤蟻。赤UFO。そして登場してないインペリアル・ガードも赤。赤は強敵(?)を示す色。
 で、今ここにいるのは赤いマザーシップと言う訳だ。なんか、あまりにもスケールがでかすぎて、何も言えない。
 ここにきて、状況は最悪な物となった。エース・マザーシップに対する攻略法は、いまだ不明。おそらくハッチ以外の弱点があるのだろうが、現状ではわからない。
 その間も容赦なくプラズマ弾は降り注ぎ、少しずつEDF側の被害が増えてきた。さすがにゲームと違って体力という設定もあるので、いつまでも走り続けるなんて不可能なのだ。そして、さらに事態の悪化を知らせる通信が響く。
「………空間に再び異常発生!!ま、またしてもマザーシップクラスのエネルギー反応です!!」
「なっ?!もう一機現れるというのか?!」
「嘘だろ……」
「いくら何でも、無理だ…」
 さすがのこれには、EDFの隊員たちも言葉がでなかった。打破できないこの状況で、さらにマザーシップ。しかも同じパターンからすれば、来るのは同じ奴だ。
 死にたくはないので、がんばって回避するものの、戦意は一気に低下し始めていた。
「さ、さすがにそれはねぇだろ……」
「……あんまりですよ、これ~」
 さすがのイヅキ小隊の面々ですら、絶望を感じ始める。
 EDF防衛記録2最大の危機といえる状況。もう大ピンチどころの騒ぎではない。やがて空間湾曲現象が起き、憐れみの欠片もなく2機目のマザーシップが現れた。
 





















 もう終わりかもしれない。誰もがそんな思いを抱く。




















 だが――――そのマザーシップはすこ~しばかり様子が違っていた(ぇ























 そのマザーシップは最初からスペースリングもジェノサイド砲もなかった。しかも傾いて、あちこちで火を吹いていたのだ。

「……は?」

 事情がさっぱりわからず、誰もが(・□・)な顔をしたまま空を見上げる。



 そしてそれは、そこにいた全ての人間の予想を完全に裏切った。



 なんとそのまま落ちてきて、そのままエース・マザーシップの上に激突したのである。あれだけの質量のものに激突されては、マザーシップ以上の性能を持つと思われるエース・マザーシップですら一たまりもない。
 転移してきたマザーシップ。EDFを絶望にどん底に突き落とすと思われたそれは、意外にもイヅキ小隊とEDF。そして、この物語の存亡を救うことになったのである。


 このあまりにもぶっ飛んだ(ご都合な)展開に誰もが呆然と立ち尽くしていたのは言うまでもない。

 けれども、これによって九死に一生を得たのも、また事実であった…。



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□えむ’sコメント□

 というわけで、次回はギャグ色強めと言いつつ、ほとんどシリアスでラストだけぶっ飛んだ展開となりました(汗

 まぁたまには、こういうのもいいだろうとw 本当に奇跡じみた展開ですが、忘れちゃいけません。日本には最強の運を持つ陸戦兵がいるのですから。

 ちなみに空間歪曲は、この世界では一種のワープみたいなものだと、えむは考えております。だから、空間歪曲で消えたら、どこかに現れるんだろうな~と。

 そこで質問。皆さんは覚えていますか? 空間湾曲によって消えたマザーシップの存在。(ちょ


 わからないという方は、目次から作戦No.29参照。