心筋の細胞は死ぬまで生まれ変わらない!? | イツモ健康ブログ

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健康管理士コラム

 「心臓がん」という病名を聞いたことはありますか?おそらくほとんど耳にする事はないと思います。これは心臓のほとんどを占めている「心筋」の特徴が関係しています。

 心筋の大きさの特徴は、生まれた後は細胞分裂を行わないということです。
大人に成長するにつれ心臓は大きくなっていきますが、これは心筋細胞の生理的肥大によるものと考えられています。つまり増殖したり、再生することがないのです。

 がんは正常な細胞が分裂や増殖をする際に、設計図のコピーミスが起きることで発生しますので、細胞分裂をしない心筋を主体とした心臓にはがんが発生しないということになります。実は、心臓にも非常にまれなケースとして肉腫のがんが見つかることがあるのですが、他の臓器からの転移によるものが多く、原発性であることはほとんどありません。

 また、「心筋が再生しない」ということと関連が深い病気には「心筋梗塞」があります。ご承知のように、心筋梗塞は死に直結するものです。心筋に栄養素や酸素を送り届ける冠状動脈に梗塞がおきると、心筋は壊死してしまい再生しないため、その範囲が広がることにより心筋のポンプ機能が停止してしまう訳です。

このように「心筋が再生しない」ことは、長い間定説となっていましたが、近年の医学の進歩により、心臓についても今まではあり得ないと思えることがわかってきました。実は、心筋の中にも生殖能力をもつ「心筋管幹細胞」が存在することが発見されたのです。ただしその割合は全心筋細胞の0.1%以下しかないため、障害された心筋細胞を再生することは、現実にはまだ難しい状況です。今後こうした研究やips細胞(ヒトの皮膚などの細胞に数種類の遺伝子を入れて人工的に作り出す万能細胞)のような理論や技術の開発が進むことで、心臓の再生医療も飛躍的に進歩することが期待されています。