今日、日本人の認知症の約6割は、アルツハイマー型認知症と推測されています。
アルツハイマー型認知症は潜伏期間が10年~20年と長く、その間に徐々に進行していきます。
認知症は単なる物忘れとは違い、脳の細胞が死んでしまったり、うまく働かなくなったりする状態を指します。成人期に起こる知能低下により、複数の認知機能障害があるため、社会生活に支障をきたすようになります。
日本人の代表的な認知症には、上記に述べたアルツハイマー型認知症のほか、「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」があります。
~主な症状・原因~
●アルツハイマー型認知症・・・認知機能障害、もの盗まれ妄想、徘徊、とりつくろいなど
<原因>アミロイドβよいうタンパク質が蓄積し、脳の神経細胞が死滅
●脳血管性認知症・・・認知機能障害、手足の痺れ・麻痺、意欲低下、感情失禁など
<原因>脳卒中が原因であることが多く、脳細胞の一部が死滅
●レビー小体型認知症・・・認知機能障害、パーキンソン病、症状の変動が大きい、
睡眠時の異常行動など
<原因>レビー小体というタンパク質ができ、脳の神経細胞が死滅
2015年1月、厚生労働省は「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~)」を策定しました。
これは、認証の人の意思が尊重され、出来る限り住み慣れた環境で、自分らしく暮らし続ける社会の実現を目指すことを基本方針にしたものです。
「新オレンジプラン」は以下の7つの柱を基に構成されています。
①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
②認知症の容態に応じた適時・適切な医療及び介護などの提供
③若年性認知症施策の強化
④認知症の人の介護者への支援
⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
⑥認知症の予防法や診療法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの研究開発および、成果の普及推進
⑦認知症の人やその家族の視点の重視
これまで認知症は、特殊な人、厄介な人、異常な行動・言動をする人というふうに考えられていました。しかし、今では誰もがなりうる病気であり、できないことがあるのが普通なのです。
これからは、原因を理解して見方を変えていくといった意識変化が大切です。