真っ青な青い空。
おはようございます。
今日は、わたしの原点、
販売員としても、
そして今に続いているワケを
書いてみたいと思います。
33歳のとき、
インポートブランドに再就職
某大手百貨店の本店勤務となったわたし。
配属されてまだ2ヶ月くらいの頃、
そのブランドは自分の憧れでもあり、
最初は、夢中で商品のことやこれまでのコレクションの事など、他のスタッフに比べて当然情報としてのブランド知識が足りていないんじゃないかと、変な焦りもあったり。。。
でもある時、
そんな事よりもっともっと大切なことがあることを改めて感じられたお客様との忘れられないエピソードがありました。
すこし長くなりますが、読んでくださったら嬉しいです。
ある日の夕方、
私より少しお若いくらいの女性がご来店。お声かけて話を伺うと
どうやら少しお急ぎのご入用で黒っぽいパンツスーツをお探しとのこと。
私のいたブランドは パンツのシルエットが綺麗で知られているブランドでもあったことから、いくつかその方の体型に合うパターンのパンツをおみたてして、試着していただきました。
合わせたジャケットも、綺麗にお身体にあってご本人も、
「あぁ、すてき、、、」と
穏やかな笑みを浮かべられました。
その後、フィッティングルームで、
再度、
〝どんなご用途でお召しになるのか〟
を伺ってみると、、、
お客様:「実はね、近いうちにお通夜と葬儀があるんです、、、」
私:「そうでしたかぁ。それでご用意を急がれていらしたのですね、、、」
お客様:「そうなんです、、、実は、」
私:「はい、、、」
お客様:「わたしの母なの、母の葬儀のために、ね。」
私:「ええっ、、、…>_<そうだったんですかぁ、、、(息をのむ)」
お客様:「私の母、いま入院しているんだけど、もう長くないって、お医者さまに。。。それでね、、、」
「母の葬儀のために選ぶなんて複雑だけど、きちんと、成長した姿で、かっこよく見送りたいなとおもってね。」
「それで、久しぶりにデパートに来たんです。だけど、あまりに久しぶりな華やかな空間で、圧倒されちゃって、何をどう選んでいいかわからなかったの。。。」
「だけど、ありがとう、、、とても丁寧に話を聞いてくださって。(涙)」
私:「( ; ; )( ; ; )と、とんでもございません。私は本当になにも、、、。ただただ、お母様へのお気持ちが、そのまま伝わってまいりまして、、、うまく言葉にできなくてごめんなさい。。。でもお母様にもきっと伝わると思います。(この時、不覚にもお客様のまえで何というお言葉をかけてよいかわからなくて涙してしまって、、、)」
お客様:「本当に素敵なスーツだから、このままこれに決めてしまいたいのだけど、予算よりだいぶオーバーしてしまっているのと、まだ一軒目だったから、もうすこし他もみてみてからでもいいですか?」
私:「もちろんです!!!お客様の気持ちにフィットするお品が見つかると良いですね。何かお役にたてることがあれば、またいつでもいらしてくださいね。」
そうお伝えして、
ショップカードに私の名前を記し、
ご試着いただいた品番やパンツやジャケットの詰め寸法などももし次回ご来店のとき、二度手間にならないようにメモしてお見送りしました。
夕方の賑やかなショップ。
お客様と二人で涙したフィッティングルームは言葉を超えた空間。
最後は言葉はなくとも何かお客様と気持ちが通じている感覚、
気丈に振舞っているその方の背中に
そっと手を添えたいような気持ちで
心のなかで〝頑張って〟と無言のメッセージをお送りしながらお見送りしました。
自分の無力さを感じながらも、
そのお客様のお気持ちを思うと、
ただただ、
お母様へのお気持ちが届くことだけを
想い、わたしはその日の仕事を終えました。
そして、数日後、、、
なんと、そのお客様が再びご来店!!
私:「こんにちは!!先日はお訪ねくださってありがとうございました!その後いいお品見つかりましたか?どうなさったかしら、と気になっていたんです。」
お客様:「覚えていてくれてありがとう。
何軒かで値段に合うものを試着してみたりして、いいのもあったんだけど」
「やっぱりあの日、関さんに丁寧に接客してもらって、みたててもらったものが忘れられなくて。。。。だから、予算よりオーバーしても、やっぱり関さんから買いたいなって思って来ました!!」
私:「(再び、我慢するも涙)、、、ありがとうございます!!!(涙、笑顔)すぐにあの時のお品物、ご用意いたしますね!」
お客様:「こんな風に単なるモノとしてだけでなく、お買い物ができてのは初めてかもしれません。本当にありがとう。いいお買い物になりました。」
販売員にとってこんな「ありがとう」以上に嬉しいご褒美はありません。
こちらこそ、改めて自分自身のことまで気づかせていただく機会になったというのに、言葉がありませんでした。
確かにそこには
スーツという〝モノ〟が介在しながらも
私は販売員として
十分な提案できるようなスキルも向上したいけれど、
その前にお客様に向かいたいんだな、、
そこを大事にする事の方が私らしいし、
販売員も人、お客様も人、
やっぱり〝目の前の人〟と向き合うことが好きなんだ、と気づかせていただきました。
時に、
『これはいま一番売れてます』とか
『わたしも持ってます』とか
そんなこと案外どうでもよくて、
目の前のお客様が何を欲しているのか、
どんな風になりたいのか?
この方のお得意な雰囲気はどんなテイストか?それこそが、その方の魅力を引き出すことにもなるし、もっと素敵になるアイテムはどれなのか?
そして
時には
どんな想いでここにいらしたのか
をちゃんとうけとめて
その方にあった温度で提案できる販売員でありたいと思っていたし
世の中にもっと増えたらいいのになって
販売員のときも
いまも
やっぱり〝人〟ときちんと向き合いたい。
そこは同じ気持ちでいます。
販売員もセラピスト。
そんな風に違和感なく思えるのは
こんな経験からなんです。
最後までお読みくださってありがとうございました。
MARIKO