豊富な海草や藻が育ち、たくさんの魚が泳ぐ男鹿の海にしようと、市や地元高校、NPOなどが協力し、藻場を再生させる研究が始まった。近く、商品化に向けた昆布の養殖もスタートさせる。4日は、藻場が育つ環境を整えようと海に肥料をまくなどした。
男鹿市の双六(すご・ろく)漁民会会長の篠田三男さん(71)によると、かつて男鹿の海では、海藻のジバサ(ホンダワラ)がたくさん取れた。しかし、今は魚の産卵などに必要な藻の群落が枯れる磯焼けで養殖ワカメ以外はほとんど生えなくなったという。
海づくりに参加しているのは男鹿市、男鹿海洋高校、漁業支所、NPO、地元企業など15団体。今夏に「男鹿の海 森づくり推進協議会」を設立し、研究に乗り出した。県も2013年度まで計1千万円の補助金を出して支援する。
研究の中心となっているのは鹿児島大学名誉教授で、「NPO法人海の森づくり推進協会」代表理事の松田恵明さん(71)。九州や四国、千葉の5カ所で藻場づくりを、全国33カ所で昆布の養殖を行ってきた。日本海側は冬に海が荒れるため、「藻場づくりや養殖は難しい」とされてきたが、松田さんは比較的おだやかな男鹿の岩場の多い内海に注目した。松田さんは「荒い海でも養殖や藻場の再生ができるというモデルにし、秋田の産業を豊かにしたい」と意気込む。
4日は、男鹿市船川港双六の沖に肥料がまかれた。肥料は、海中に鉄分を与える硫酸鉄と珪藻土(けい・そう・ど)などでできており、プランクトンを増やし、海草や藻の生息場所など海の環境を整える。ハタハタなどの魚が戻り、漁獲量が増えることも期待されている。
男鹿海洋高校の生徒4人と漁協関係者らが手伝い、流されないように麻袋に入れたペレット状の肥料3袋と石を網に入れ、水深3~5メートルの岩場の数カ所に沈めた。5日も同市内の増川、小浜など5カ所の沖に沈める。
肥料は約5年間持つといい、来春には藻や海草が生えるなどの効果が期待できるという。作業をした同高3年の船木航平さん(17)は「藻ができ、魚が増えたらいいなと思う」。篠田さんも「来年の4月が楽しみだ」と話した。
また、県内の海でこれまで取れなかった昆布の養殖、商品化も目指す。漁業の新しい収入源になるほか、藻場の再生にも役立つという。養殖は今月下旬から増川、南平沢など6カ所で始め、来春の収穫を目指す。
出典:朝日新聞