橋脚作りは"海の底"〜〜横浜環状北線を見に行った〜(その4) | 大山顕の首都高エコマニア

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さて、北線の建設工事を見に行ったレポートも今回4回目が最終回。(第1回→「工事中の光景に大興奮!」、第2回→「さっきまでトンネルだったのに!」、第3回→「ここもさっきまでトンネルだったのに!」)前回台地の崖からどーんと飛び出したトンネルがいきなり高架になる、その先です。もうすぐ生麦ジャンクションに接続するぞ、ってあたりですね。


↑航空写真で見ると、ここ。ご覧の通り本エントリ執筆現在はまだ橋脚も立っていない(大きな地図で見る

ここのポイントのひとつは、これまで繰り返し何回も書いてきたのでタコができているかと思いますが、やっぱり「場所がない!」ってこと。これは、道路のための用地もさることながら、工事作業をするためのスペースが最小限だということです。上の航空写真を見ると国道15号線・第一京浜を越えて、その脇をぎりぎり延びていっていますね。


↑今回の現場にあった看板。丸いのが橋脚の位置。工事用道路は橋脚の間を縫うように設定されてる。

北線の多くの部分がトンネルなのは、周辺への環境と、多く建っている住宅への影響をなるべく少なくするためでした。とはいえ、この部分は、この先少し行ったところですでにある生麦ジャンクションに接続しなければならないことと、地形的にトンネルにはもうできないことから高架にならざるを得ないわけです。それでも確保する用地はなるべくぎりぎり少なく、ってわけですよ。

で、ポイントのふたつ目が、タイトルにある「海の底」。これはなんのことかというと‥


↑おおー!なんだかかっこいいぞ!

あんまりにかっこよかったんでタイトル画像にもしたこれ、いままさに橋脚の基礎をつくっているところでありまして。この円筒形の魅力的なジャングルジムは足場です。


↑こちらはほぼ基礎完成しているもの。この上に橋脚が立つのだ。

まずあらためて感銘を受けたのは「白鳥の水かき」じゃないけど、橋脚って見えない地下部分に巨大な基礎があるのだなあ、ってこと。完成しちゃうと目に見える地上部分に目を奪われがちだけど(目を奪われるのはぼくだけですか)、工事中の光景を見るとむしろ地面の下の基礎部分をつくるのに精を出している感がひしひしと伝わってくる。

で、この基礎の作り方ですよ!


↑脇に、橋脚にしては派手な色と円筒形のものが置かれている。なんか螺旋階段もついてるし。これなんだろう?と思ったら…


↑こうして基礎をつくるための設備の一部だった。

「なんでこんななんですか?重機で穴掘ってそこに基礎置く、じゃないんですか?」
「地面を掘ると水が出ますよね。ここらへんは特にたくさん出るので、作業場全体を密閉して空気を高圧にしてその中で掘るんです」
「へー!」

これはびっくりした。川や海でそういう方法がとられることがあるのは聞いたことがあったが、地上でも使われるとは。

ぼくがいままでいくつかトンネル工事を見てきて実感したのは「穴を掘れば、水が出る」ということ。こうやって書くと「そりゃそうだ」って感じなんだけど、その規模が大きくなるとその対策ってほんとたいへんなのよ。そしてトンネルじゃなくても、こうやって橋脚の基礎工事でも同じ問題が起こるとは。

で、さらにおもしろかったのが、いよいよタイトルの「海の底」。

「高圧の中で作業している人は、すぐ出てくると潜水病になっちゃうので、徐々に圧を下げて身体を慣らしてから出てくるんですよ」

潜水病!生麦で!これはほんとうに興味深い話だった。なるほどねえ。

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↑接続予定の生麦ジャンクション方面は徐々に建ち始めてました。

今後は橋脚を見るたびにその足元の地下に思いをはせてしまうだろう。

全4回に渡ってお送りした北線工事。あらためて都市にインフラを追加する、ってほんとたいへんなんだなあ、と思いました。あと、やっぱりかっこいいなあ、ともね!