【鎌倉】紅葉の一条恵観山荘…京の雅の建物の魅力を詳細レポ★ | 花をたずねて鎌倉歩き&HappyLife!人生が輝く鎌倉花さんぽ

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●【鎌倉】紅葉の一条恵観山荘…京の雅の建物の魅力を詳細レポ★
 

ほんのり紅葉が始まった
一条恵観山荘へ…
11月20日、建物見学に行ってきました。

入口の紅葉はきれい…

中はまだ2割くらいの色づきです。

 

建物見学は、

特定の公開日に、予約をして

うかがうことができます。

 


茅葺の、一見素朴な
落ち着いた風情の
建物でありながら、

精緻に、
至るところに工夫が凝らされた
江戸初期の皇族山荘。


お茶や和歌、お花にも通じていたという

一条恵観の美意識の結晶を

垣間見ることができました。


袴を身に着けた
狂言師さんが
ご説明くださいました。


まずは天皇を

お迎えする

御幸門をくぐって…



一条恵観山荘は、
元は京都に建つ、
一条家別邸の離れでした。

江戸時代の初期、後陽成天皇の
第九皇子であった一条恵観によって
営まれた山荘です。

恵観自身が設計し、
京の雅な心と野趣が込められた
皇族の「茶屋」です。

昭和34年、
京都から鎌倉に移築され、

国の重要文化財にも指定されています。


建物の中に入ると…

少し薄暗い、
3~4畳の部屋がメイン。
一番大きくて6畳という
こぢんまりした部屋が並んでおり、

奥に進むにつれて
格の高いお部屋になっていきます。


最初のお部屋には、
人形回しの杉戸絵が。


手に扇を持った人形が描かれており、
5体の人形を下から1人の人が操る、
人形回しの浄瑠璃を
描いているといいます。

のちにこの浄瑠璃が、
文楽に発展していきました。


天井は、竹の化粧屋根。


さまざまな太さの竹でできています。


次の4畳半の部屋には、
壁に二重棚が。


この下に囲炉裏があり、
食べ物のお膳が冷めないよう、
熱で温めたのだそう。

そして囲炉裏の熱気は
天井まで回るようになっており、
建物が暖まる、いわば
セントラルヒーティングの
役割を果たしていたといいます。

また、屋根をいぶして
虫がつきにくくする効果もありました。


1つのお部屋の柱に、
ヒノキ、アカマツ、スギなど
いろいろな種類の木材が使われています。

雑木林の風情を建物に取り入れたという、
「野趣(やしゅ)」を大切にする
あり方に目を見張りました。

こうした柱の材の選び方が
すべての部屋に取り入れられており、
この建物を歩くと
雑木林を歩いているのと同じ…
とうかがって、
恵観公が
大切にしていた世界観が
心に響きました。


障子の張り方も特別で、
石垣張りという、
紙の接ぎ目をデザインとして
見せる張り方。

骨がないところに
紙をつぐ、
非常に貴重な技術。

今ではできる職人さんも
少なくなっているそう。

建物を残すということは、
職人さんの技術を受け継ぐことにも
なっている…といいます。


奥に進むにつれ
次第にお部屋の
格が上がっていきます。

部屋に変化をつけることで、
お客さまを飽きさせない工夫が
こらされています。


さらに進んで、
打雲紙 (うちぐもがみ)の二階棚のある
3畳のお部屋。



恵観公が師事した茶人、
金森宗和(かなもり・そうわ)好みの
しつらえといいます。

棚の引き戸部分は
上下ひっくり返せるようになっていて、

ハレの日は青い雲が上、

ケの日(普通の日)は赤い雲を上にします。

この日は、青い雲が上…
お客さまを迎えるときの
ハレの日のしつらえに
してくださっているそう。

数々の
細やかな心配りに、
ため息の連続。


さらに奥へ…
格が高くなり、

たたみの縁(へり)が、
シルクでできた絹縁(きぬべり)に
変わります。



ふわふわとした絹の手触り。
踏まないように気を付けて…!

大変身分の高い方しか
使うことを許されなかったという、
大門高麗縁(だいもんこうらいべり)です。

皇族の建物であることから、
菊のデザインが
多く用いられています。


天井は、竹の網代(あじろ)。


1つ、曲がった竿縁(さおぶち)があり、
そこに目線を誘導する効果が。

その先にはお庭があり、
お庭をご覧ください、という
配慮がその造作に込められています。

このお部屋のふすまの引手は
「の」の字。



そして、次のお部屋の引手は
「月」の字。


「昔わが折りし桂のかひもなし
月の林の召しに入らねば」


という和歌の「月」「の」を
かたどる形といいます。

月の林とは、
公卿を月になぞらえていうところから、
皇族のいらっしゃるところ、
を指したそう。

雅な趣向、遊び心。


もっとも奥にある
最上段のお部屋…


暗いいくつかの部屋を抜け、
障子越しのやさしい光に満たされた
明るいお部屋へ・・・!

トンネルを抜けて光の世界に出たような、
感動を生む空間構造です。

床の間を支える、
シイの木の床柱。


天井は低く、
下げ天井となっています。

畳には
お茶のための
炉が切られており、

ここに恵観公が座り、
お客さまを迎えたといいます。


天井の
一番床の間に近いところには、
二股に分かれた
天然のアカマツの竿縁。

床の間に
目線を誘導するための工夫です。


掛け軸には、
天皇の御代をことほぐ和歌が
したためられていました。


一条恵観の
お兄さんである
後水尾天皇のおかげで、
民は安らかに
暮しているのですよ、と伝える
3つの和歌。


お庭の見えるお部屋には、
池坊の杉戸絵が。
おめでたい紅白のお花が
描かれており、
恵観公も池坊のお花を好んだと
いわれています。



お部屋からお庭を眺めて…

建物から眺めるお庭は、
額縁に納められた
一幅の絵画のよう。


お庭のマツの木は、
手前が太く・奥が細くなっており、
遠近感を感じる
構成になっています。

この建物は、
昭和34年、
京都から鎌倉に移築されましたが、
長い間、
お茶の世界の人のみの
閉じられた空間でした。

2017年に公開され、
こうして京の雅のお庭や建物を
私たちも味わうことができるように
なっています。

6月のヤマアジサイ、
12月の紅葉も美しいお庭。


ここは報国寺の山が
潮風を遮るため、
塩害も少なく
美しい紅葉が見られるといいます。




前庭の枯山水と足元の石の配置は、
京都の恵観公のお屋敷から
忠実に移してきたものだそう。


恵観公が師事した茶人、
金森宗和(かなもりそうわ)好みの
景色だといいます。



お庭からは滑川の渓谷美も望め、
まるで京都に旅に来たかのような
上質な空間。


野趣を感じる茅葺屋根に、
驚くほどに細やかな

数々の意匠を凝らした
和の建物…


竹寺・報国寺近くの
プレミアムな山荘へ…


どうぞ季節の情趣を味わいに、
訪れてみてくださいね。

 

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12月7・8日、

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ぜひご一緒に、

雅なお庭を楽しみましょう^^